体の不調を感じている人は、もしかしたら食事の取り方にその原因があるのかもしれない。管理栄養士の佐藤加代子さんに、健康に過ごすために気をつけたい食生活についてアドバイスしてもらった。 (山口佳子)
特定地域の小学5年生約1500人を対象に行った佐藤さんの調査研究によると「体がだるい、頭が痛い・ぼんやりする、めまい・立ちくらみがする、やる気が出ない、イライラする」などの体調不良を訴える子どもが50%以上だった。「朝食を取らないことが多い」「夕食後に間食をする」「夕食が楽しくない」ことが、共通する生活習慣の主な傾向だ。「この傾向は、高校生にも共通していると思います」
朝食は、健康な体づくりのために必要な1日に栄養素の3分の1を取る、量的な面でも大切だ。また、人の体内時計を整える上でも重要だと最近の研究でより明らかになっている。
朝食はしっかり食べよう
人の体内時計は、脳にある「主時計」と小腸などの臓器にある「末梢(まっしょう)時計」の2つがある。主時計は朝の光を浴びること、末梢時計は朝食を食べることで正しく調整される。互いが同じ周期で働くことを同調という。朝食を取らないと、主時計と末梢時計の同調がうまくいかず、体の不調や障害を生じやすくなる。朝食を食べない人は、食べる人に比べて体力・能力に差が出たというデータもある。朝は空腹で出掛けない努力が大切だ。
しっかり朝食を取るためには、毎日の生活リズムを整え、就寝2時間前に食事を済ませ、夕食後の間食は避けてほしい。夜食を取るときは、消化の良い物を食べるようにしよう。
栄養ある食事を取ろう
菓子類の食べ方には気をつけてほしい。「菓子類は糖分と油が中心であり、満腹感はあるものの、必要な栄養が不足しがちです。食事をしっかり食べるように心掛けましょう」
「食事」とは、主食(ご飯・パンなど)・主菜(肉・魚など)・副菜(野菜・豆・豆腐など)がそろったもの。これに、乳製品、果物などをプラスできれば、なお良い(図)。いろいろな物を食べることが、バランスの良い栄養摂取につながる。
成長期の今は、骨や筋肉など健康な体づくりに大切なカルシウムやタンパク質を積極的に取ること、元気に過ごす健康な体づくりを心掛けたい。「食事を楽しむことも大切。好きなメニューにプラス1メニューで栄養面を整えることを心掛けましょう」
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佐藤加代子さん (管理栄養士)
さとう・かよこ
東洋大学名誉教授。専門は公衆栄養。