勉強のし過ぎ? それともスマホの使い過ぎ? 肩や背中の凝りでつらい日々を過ごす高校生は少なくないはず。肩凝りが起こる原因や対策について、整形外科専門医の新井貞男先生に聞いた。 (山口佳子)

長時間同じ姿勢はNG

肩凝りは、肩の筋肉が緊張してこわばることで周りの血管が圧迫されて血行不良が起こり、筋肉がますます固くなってしまう症状だ。こわばりを解消できずに蓄積させていくと、症状はますます重くなる。

肩凝りの原因として最も気を付けたいのが、同じ姿勢を長時間続けていないかということ。勉強に集中しているとあっという間に時間が過ぎるが、「同じ姿勢でいるのは、30~40分が限度」と新井先生は話す。肩凝りに悩んでいるなら、タイマーをかけてでも、こまめに休憩を取ろう。「わざわざストレッチ体操をしなくてもいい。トイレに立ったついでに腕を回す程度でも十分です」

眼鏡の度数を確認

小さな画面を同じ距離で見続けるスマホの長時間使用も避けたい。眼精疲労も肩凝りを引き起こす。左右で視力の差がある人も肩凝りになりやすいので、目が疲れると思う人は、眼鏡やコンタクトの度数を確認しよう。

普段の姿勢も大切だ(図)。姿勢が悪いと体に負担を強いることになるため、凝りも起こりやすくなる。通学時、片側の肩だけに荷物をかけていないだろうか。座っている時も、肘をついたり、足を組んだりするのは、体のバランスが悪くなる原因となるのでやめよう。「良い姿勢を保つためには、ある程度の筋肉が必要です。毎日少しずつでも歩く、ちょっとした運動をするなど、適度な運動を続けることが大切です」

入浴やシャワーで温める

受験や人間関係が原因で極度な緊張を強いられていると、精神的なストレスから肩凝りになる人も少なくない。「ストレスがなくなったら、肩凝りがすっかり治った人も少なくありません」

慢性の肩凝りには、血液の循環を促すために温めるのがお勧め。ゆっくり入浴したり、痛みのある場所に熱めのシャワーを当てたりしてみよう。ただし、激しい運動後などに起こる急性期の凝りは、冷やした方が良い場合もあるので注意が必要だ。時には、肩凝りの背後に、胃腸や心臓などの疾患が隠れている場合もある。「症状が長期間続く場合は、整形外科や内科を受診してください」

 
 

新井貞男先生

(あらい整形外科院長)
あらい・さだお 整形外科の専門医。日本医師会学校保健委員会委員も務める。