朝、登校前になるといつもお腹が痛くなる。大事な試験や試合の前になるとおなかを壊す。こんな症状に悩んでいる人は、「過敏性腸症候群」かもしれない。思春期に発症しやすいこの病気の原因や対処法を、久里浜医療センター(神奈川)の水上健先生に聞いた。(平野さゆみ)

Q.通学電車やバスの中でよくおなかが痛くなり、下痢をしそうになるので、学校に行くのが怖いです……。原因や対策を教えてください。

 

A.目を閉じて1分間深呼吸を。「体質なのだから仕方ない」と割り切ることも大切。

過敏性腸症候群は、腸に炎症や腫瘍といった異常がないのに、腹痛を伴う便秘や下痢を繰り返す病気です。症状には、「下痢型」「便秘型」、便秘と下痢を繰り返す「混合型」があります。この場合はストレスが原因の下痢型が疑われます。大事な試験や試合の前におなかを壊す人なども、同じタイプです。もしも便が出そうになったら、1分ほど目を閉じて深呼吸すると、腸の動きが落ち着くはずです。あるいは、何か別のことに意識を集中させましょう。

この体質は人口の約10%が持っています。大切なのは、「自分はこういう体質なのだから仕方がない」と割り切ること。メンタルが原因なので、それだけで治ってしまう人も少なくありません。症状が改善しなければ、消化器内科や心療内科を受診しましょう。特効薬がありますし、薬を処方された安心感によって症状が治まることもあります。

 
水上健さん
みずかみ・たけし 医学博士。久里浜医療センター内視鏡部長。専門は大腸内視鏡検査や過敏性腸症候群、便秘の治療。