2019年5月1日の新天皇即位に伴う新元号の公表時期について、政府は改元の1カ月前と想定して準備を進める方針を決めた。
自治体・企業に困惑も
政府が公表の一定時期を示すのは初めてだが、「システム改修などの準備を円滑に進めるための作業場の便宜」であり、具体的な時期は未定と説明している。新元号の公表が改元1カ月前の見込みとなったことで、自治体や企業は短期間でのシステム改修や書類の更新を迫られる。
自治体は電子化の進んでいる住民登録や納税などのシステム改修を迫られるが、変更に必要な箇所の確認だけで膨大な作業量になり、「間に合わない」「仮に間に合っても予期しないエラーが生じる恐れもある」と困惑が広がる。
20年のカレンダーは元号なし?
契約書などに和暦を使うことが多い金融業界は、支払期日などが「平成」で記入された手形や小切手の修正も迫られ、地方の中小機関の対応が進むのか、不安の声も強い。また、カレンダーや手帳業界への影響も大きい。カレンダー業界では、2020年版の印刷を18年12月~19年1月ごろに始めるが、「20年版は元号を盛り込まない可能性も検討する」という。
選考は「平成方式」を踏襲
新元号の選定は、平成改元の方式が踏襲される。政府は既に専門家に新元号案の考案を依頼し、内々の回答を得ているという。選考の過程は「秘中の秘」とされ、調整は全て水面下で行われる。
1989年の平成改元の際に定めた規定では、首相が専門家数人にそれぞれ2~5個の新元号考案を委嘱し、専門家は意味や出典を添えて提出。官房長官が①漢字2文字②過去に使われていない――などの点に留意し、数個の「原案」に絞り込み、有識者懇談会の意見を求めた上で首相に報告。衆参両院の正副議長の意見聴取を経て、閣議で新元号を決定する。