12月23日から29日にかけて、東京体育館(東京)で開催された全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)。男子は明成(宮城)の優勝で幕を閉じた。激戦が繰り広げられたこの大会で、大きく輝いた選手たちを5人紹介する。(文・青木美帆、写真・幡原裕治)
八村阿蓮 ケガのハンデに負けず得点ランキング1位
八村阿蓮(はちむら・あれん=宮城・明成3年)
兄の塁(アメリカ・ゴンザガ大2年)は同校で1年時から活躍し、ウインターカップ3連覇を達成。「最もNBAに近い日本人選手」と期待され活躍する兄と比べると、八村は高校3年間で少し伸び悩んだ印象があった。しかし1回戦負けに終わった前回大会からインターハイ、インターハイから今年の大会と加速度的に成長し、気がつけばどのチームも手が付けられないようなエースへと成長した。大会直前にヒザの故障を負いながらのプレーだったが、得点ランキング1位(136点)、リバウンドランキング2位(67本)という素晴らしい成績を残した。
田中裕也 確実に3ポイントシュート決める
田中裕也(たなか・ゆうや=宮城・明成2年)
大事な試合で、相手の心を折るような3ポイントシュートを何本も決めてきた2年生シューター。通常2点を狙うことが多い速攻のシュートでも、リスクの高い3ポイントを選択し、確実に決める強心臓ぶりを発揮した。インターハイで高いシュート力を発揮したことで今大会はよりマークが強まったが、3ポイントシュート成功数は1位と1本差の18本。ただシュートを打つだけでなく、ボールのもらい方などを含めた「打つための技術」をしっかり磨き上げて、今大会でも結果を残した。
祝俊成 不得意な勉強にも向き合い成長
祝俊成(ほうり・としなり=新潟・帝京長岡3年)
準決勝の明成戦では徹底マークを敷かれ、思うようにプレーできなかったが、3位決定戦では福岡第一を相手に会心の勝利。同じく3位で終わったインターハイでは「(ウインターカップは)金メダルしか欲しくない」と豪語したが、「金ではなかったけれどメダルを持って帰れることがうれしい」と涙をにじませた。バスケットだけでなく、あまり得意でなかった学業にも向き合った3年間。「バスケットが大好きで、ピュアな男なんですけど、入学時はそれほど勉強は得意でなかった。(学業の)成績が上がるにつれてプレーや人間性もどんどん成長しました」と柴田勲監督もその頑張りを称えた。
バムアンゲイ・ジョナサン こぼれ球に食らいつく大会ベストファイブ
バムアンゲイ・ジョナサン(福岡・福岡第一3年)
井手口孝監督が「日本人よりも日本人らしい選手」と評するコンゴ民主共和国からの留学生。他の留学生選手と比べて突出した能力や技術があるわけではない。むしろ、できることがかなり限定されている選手だが、その「できること」に全力を注ぐのが彼の真骨頂。愚直なまでにゴール下で身体を張り、こぼれ球にくらいついてチームを土台から支えた。今大会はプレーの精度も向上。得点ランキング2位、リバウンドランキング3位、フリースロー成功数1位と見事な記録を残し、大会ベストファイブに選出された。
大倉颯太(北陸学院3年) 大会屈指のオールラウンダー
大倉颯太(おおくら・そうた=石川・北陸学院3年)
今大会は福岡大大濠に敗れベスト16敗退に終わったが、大会屈指のオールラウンダーとして間違いなく最も大きな注目を受けた選手だろう。下級生の頃から何でもできる選手だったが、今年はチームに大型選手がいないこともあり、ゴール下でも力を発揮。福大大濠戦では184センチの体格で200センチの選手をシャットアウトしつつ、37得点(3ポイント5本)14リバウンドという素晴らしい数字を残した。「苦しかったけれど、踏ん張ってきた過程があったので後悔はありません。ここまでチームを強くできたことを誇りに思っています」と爽やかに高校3年間を振り返った。