芳根京子さんは高校時代、文化祭で上映する映画の監督を任されて、クラスメートと協力しながら作品を作り上げた。監督という大役に臆せず挑戦したことが、女優としての一歩につながったという。(中田宗孝)

高1で映画監督に挑戦

高1の時、文化祭のクラスの出し物で映画を作ることになった。「私は監督、編集、そして友人と共同脚本を担当しました。放課後は脚本執筆と撮影、帰宅後は深夜まで映像編集と毎日大忙しでした」

クラス一丸となり完成させた短編映画は観客からも好評で、「クラス展示部門2位」に選ばれた。大きな達成感に包まれた芳根さんは「実際の映画やドラマの撮影現場を見てみたいな」とふと思う。それまでは芸能事務所からスカウトされても芸能界に興味を持てなかったが、女優の道に進むことを決めた。

仲良しクラスとの別れ

芸能活動に専念するため、高2から他校への編入を決断した。「自分で決めた進路だけど、つらかった」と振り返る。誕生日祝いにクラス全員の寄せ書きをもらうほど、仲良しのクラスだった。「クラスのみんなに『あの時、行動して良かったね』と思ってもらえるように、私は女優の仕事を頑張ろうって」。当時のクラスメートとは、今でも交流が続いているという。

高校生には「深く考える前に行動しよう!」と、アドバイスする。「何事も失敗を恐れず、まずやってみる。私も文化祭の映画監督を引き受けたのは、実は勢い(笑)。でも、それが私の女優の一歩になったんですよ」

裁縫を1カ月猛特訓

現在放送中のNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」では、ヒロインを好演。裁縫が得意な役柄のため、撮影前に約1カ月かけて裁縫を猛特訓した。「腕試しにルームシューズを手作りして共演者の方に贈ったら、とても喜んでくれて。手作りの良さを実感できた経験を演技で生かしたい!」

大役を任される女優となった今も「一つ一つの演技に思いを込めて丁寧に。女優を始めたころの初心は忘れない」と話す。

よしね・きょうこ 1997年2月28日生まれ。東京都出身。2013年、ドラマ「ラスト・シンデレラ」で女優デビュー。2015年には、ドラマ「表参道高校合唱部!」で初主演を飾る。主な出演作は、ドラマ「花子とアン」、映画「幕が上がる」「先輩と彼女」など。

 べっぴんさん 
 昭和の初め。神戸で暮らす坂東すみれ(芳根京子)は、亡き母(菅野美穂)から教えられた裁縫に夢中な女の子だった。その後、19歳で結婚、出産、そして戦争を経験。激動の年月を過ごす中、すみれは会社を起業し、子供服作りを始めるのだが……。NHK総合、月〜土曜午前8時〜8時15分ほか。放送中。