「俳優として生きていこう」と強い覚悟を抱いて高校2年の時に単身上京した中村蒼さん。新人俳優のころに感じた不安、葛藤こそが自身の高校時代の青春そのもの。高校生活や当時の思いを高校生記者がインタビューした。(構成・中田宗孝、写真・玉井幹郎)

俳優の道、迷いなし!

──どんな高校生でしたか。

 俳優に専念するため、高2の時に地元の福岡から東京の高校に転校しました。「簡単に辞めて地元に戻らないぞ」という覚悟を持って上京したのを思い出します。

──高校生のころに経験してみたかったことはありましたか。

 中学ではサッカー部。同じ部活の同級生は高校でもサッカーを続けていて、その姿を「青春していてうらやましい」なんて思いました。それでも、「自分は俳優をやるんだ」という気持ちに迷いはなかったです。

──当時、悩んでいたことは。

 新人俳優だったので、慣れないことだらけでしたし、家族と離れての東京暮らしで心も休まらない。学校や仕事場、どこに居ても不安な気持ちでいっぱいでした。

不安なときは悩み抜く

──そんな不安な気持ちをどう乗り越えたのですか。

 完成した作品の出来栄えが良いとうれしくなるんです。小さなことでも何か一つ、自分の挑戦の成果を見つけられると次の一歩が踏み出せて、また演技がしたくなる。そんな経験を繰り返しながら俳優を続けているんです。

──私たちも進路や将来を不安に感じることがあります。

 不安や壁に当たったら、悩み抜くのが大切です。良くないのは、考える行為をやめること。投げ出したらそれまでですが、「どうしよう」と悩むこと自体、何かが始まりかけていると思います。悩むことを恐れないで、とことん悩んでください。

なかむら・あおい 1991年3月4日生まれ。福岡県出身。2006年、寺山修司原作の舞台「田園に死す」で主演デビュー。主な出演作は、映画「東京難民」「バースデーカード」、ドラマ「せいせいするほど、愛してる」「潜入捜査アイドル・刑事ダンス」など。