札幌旭丘高校(北海道)の生徒5人は、「家賃」に興味を持ち、3万8000件以上の賃貸情報を分析し、相場より高い家賃に借り主が気づける仕組みを模索した。代表して、山岡凛太朗さん(3年)に聞いた。
「生活費が高すぎて」上京をあきらめた
きっかけは、山岡さんが高1の時に「札幌から関東の大学に進学したい」と両親に相談したことだ。「家賃を含めた生活費が高すぎるから行かせられないと言われたんです」
家賃に興味を持ち、同学年の生徒4人を誘って研究を初めた。高1の8月から高3の7月まで、高1と高3では週1時間、高2では週2時間、探究の授業で活動した。

3万8000件以上の賃貸情報を分析
学校のある札幌市を中心に家賃データを分析した。3万8000件以上の賃貸物件のデータをもとに、住宅の条件ごとに家賃の傾向を分析していった。「難しかったです。数理データサイエンス科に所属しているため、授業で習った統計手法を用いるなどして乗り越えました」
分析の結果、住宅の条件の中でも家賃に特に影響を与えているのが「専有面積」「築年数」「所在区」だと分かった。機械学習ソフトに先ほどの賃貸物件データを読み込ませ、物件の条件に基づいた「適正家賃」を算出した。
膨大なデータ整理「粘り強さ身についた」
家賃の値決めは制御できない。借り主がより合理的に判断できるよう支援する仕組みを目指し、物件の「適正家賃」を計算できる機械学習システムを作った。

賃貸物件データを分析する過程で、数値が意味を持ってつながる瞬間の面白さを実感した。「膨大なデータを整理し分析する力と、仮説を形にする粘り強さが身につきました」