9月になり、受験勉強が山場を迎えつつある。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「入試に自信が持てない」というお悩み相談に答えてもらいました。
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【お悩み】入試に自信が持てない
推薦での入試に自信が持てません。美術系の大学なのですが、上に上がいると思うとどうしても入試が恐ろしくなってしまいます。
私は総合型選抜での受験を予定しています。1期で不合格になってしまった場合は2期も受けたり、学校推薦型選抜も受験したりする予定です。今は主に総合型1期の試験内容の対策や、ポートフォリオ用の作品作りなどをしています。自分なりにそこそこできていると思います。
ただ、周りに同じような入試方法で進学した人がいないので客観的に見てどうなのかがよくわかっていません。どうすれば自信がつくのでしょうか?(小笹・高校3年女子)

能力ではなく「心」の問題
こんにちは。石田勝紀です。小笹さんが直面しているのは、能力の問題ではなく、心の問題ですね。総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜に限らず、試験というものは誰でも、不安を抱え、その不安の中で受験するものです。
ですから、小笹さんだけではなく、同じ美術系大学の推薦入試をする受験生全員が同じような心境なのです。世の中に出れば上には上がいます。そのような上があるからこそ、それを目指し自分の才能や能力が磨かれていきます。
しかし、入試においてはそれを考えてしまうと意識が分散し、自分の持っている本来の力(エネルギー)が対象(目前の課題)に向かうことができなくなってしまいます。そこで超大切な心構えについてお話しますね。

「中庸」の精神状態を保とう
入試で合格するには、「やるぞ! 合格するぞ!」と気合を入れることでもなく、「大丈夫か不安」と心配するものでなく、その真ん中(中庸)の精神状態でいると自分の持てる力が最も発揮できるようになっています。
ではどうすれば、そのような精神状態になれるでしょうか。そのための二つの秘訣(ひけつ)を書いておきますね。これが合格するパターンです。
【1】美術の先生に評価してもらう
一つ目は、「客観的評価は美術の先生にお願いする」ことです。学校に美術の先生がいると思いますので、先生にチェックや対策アドバイスを受けてください。先生も入試の裏側は知らないと思いますが、美術が専門なので、入試課題や問題を見れば、大方求められているレベルがわかります。コツとしては自分が納得いくまで、理解できるまで「しつこく」先生に聞くことです。

【2】あえて「合格意識」を捨てる
二つ目は、「合格しようと思わず、ただ淡々と精度の高いものを作ることだけに専念する」ことです。
「え?」と思うかもしれませんね。もちろん、「不合格でいいや」とも思いません。通常、入試は合格するためにするものですが、そんなことは言わなくても分かっているので、あえて合格意識を捨てます。その代わり、目の前の課題をただ懸命に仕上げることだけを考えてください。そうすると結果が必ず出てきます。
「納得いく作品作り」に集中して
自信を持って堂々と入試を受けなくていいです。心配はあると思いますが、それよりも、意識は「どうやって精度の高い自分の納得のいく作品を作るか、解答するか」だけに向けてください。これが緊張を和らげ、合格する秘密なのです。では、入試を楽しんできてください。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など著書多数。