定期テストはしっかり解けるのに、模試になるとボロボロ……。そんな悩みを抱えたことがある人も多いのではないでしょうか。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「定期テストでは取れるのに模試では点が伸びない」という悩みに答えてもらいました。
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【お悩み】模試で結果が出せない…
定期テストでは成績が取れるのに、模試ではなかなか結果が出ません。特に英語の差が大きく、定期テストでは70点以上取れるのに、模試では30点台になってしまいます。
この差は何が原因なのでしょうか? 語彙(ごい)力が不足しているからでしょうか? それとも、定期テスト後に授業内容を忘れてしまい、文法があやふやになっているからでしょうか?
模試の結果が悪いことが続くと、志望大学に対する不安が大きくなります。特に私の志望校は英語重視なので、英語の成績が不安定なことが悩みです。
定期テストではしっかり点を取れているのに、模試では結果が出ない原因をしっかり分析し、改善したいと考えています。模試は定期テストと異なり、範囲が広く応用力が求められるため、語彙力や文法の理解が不十分だと得点に結びつきません。
この点について、どのように対策を立てるべきかアドバイスをいただけるとうれしいです。(杏・高校2年女子)
定期テストができる=基礎は身についている
こんにちは、杏さん。定期テストと模試の点数に差があって不安な気持ち、とてもよく分かります。そのような相談を中高生からたくさん受けます。
定期テストできちんと点数が取れているのは、基礎力がしっかり身についている証拠です。テスト後に内容を忘れてしまっても心配いりません。一度学習した記憶は脳に残っていて、再び同じ内容に出会った時により理解しやすくなります。ですから、これまで通り定期テストはしっかり頑張ってください。

定期テストと模試は「求められる力」が違う
では、なぜ模試で結果が出ないのでしょうか。定期テストと模試では、求められる力が根本的に違うからです。定期テストは範囲が決まっていて、授業で習った内容の理解度を測ります。一方、模試は今まで学習した全範囲から出題され、初見の問題を解く応用力・思考力が必要なのです。
英語は「語彙力」「読解力」「読むスピード」を鍛えよう
英語で模試の高得点を目指すなら、語彙力・読解力・読むスピードの三つが特に重要です。文法ももちろんある程度大切ですが、文法に力を入れるよりもこの三つを鍛えることで点数は飛躍的に上がります。
【語彙力】5~7日間で2000単語を覚える
まず語彙力についてです。大学受験レベルの英単語2000語、英熟語1000語を短期間で一気に覚えてしまいます。高2の夏休みなど、まとまった時間を使って、5~7日間で集中的に取り組むのがコツです。完璧に覚える必要はありません。単語を見て「だいたいの意味が分かる(1英単語にざっくりとした一つの意味)」レベルで80%程度習得できれば十分です。英単語が書ける必要はありません。見て意味が分かることで十分です。

ちなみに私が塾で高校生に指導していたとき、夏休みの3日間、朝から晩まで英単語と英熟語のみをやり一気に覚えさせました(80%答えられたらOK)。その後、全員、英語の模試の点数が飛躍的に上がったという実績があります。英語が得意かどうかにかかわらず、誰でも可能です。
【読解力】「推測する力」を身につけよう
次に読解力です。これは短い文章や段落を丁寧に読んで、正確に意味を理解する力です。分からない単語があっても前後の文脈から推測する練習をします。長文ではなく、段落程度の量でやります。実は、読解力は国語でも鍛えることができ、英語にも応用できます。普段から「この文章は何を言いたいのか」を意識して読む習慣をつけてください。

【読むスピード】必要な情報が書かれている場所を読む
最後に読むスピードを上げる力です。模試では時間との勝負でもあります。重要な情報が書かれている部分(抽象的・概念的な内容)はしっかり読み、具体例などは適度に読み飛ばす技術を身につけましょう。「どういう意味か」を意識しながら読む練習。英語に限らず、国語もまったく同じです。ちなみに、答えは抽象部分にあり、具体部分にはありません。

英検の勉強が生きる
これらの力を効率的に伸ばすなら、英検の勉強がおすすめです。英検には専用のテキストや過去問があり、年に何度も受検できます。級によっては大学入試で優遇される場合もあるので、一石二鳥です。
英語以外にも応用できる
最後に、英語以外の科目についても同じ考え方が応用できます。模試は初見の問題を解く力が試されるので、日頃からさまざまな問題集に取り組んで、問題のパターンや形式に慣れるのが重要です。定期テストの勉強で基礎を固め、模試対策で応用力を鍛える。基礎と応用の両面を並行して、必ず結果はついてきます。
志望校が英語重視ということですが、今から対策を始めれば十分間に合います。焦らず、計画的に取り組んでみてください。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など著書多数。