部活が忙しくて勉強に手が回らない……と悩む中高生は多いのではないでしょうか。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「部活を辞めて勉強に集中すべき?」というお悩み相談に答えてもらいました。
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【お悩み】部活をやめて勉強に集中すべき?
私はソフトテニス部に所属しています。週5、日曜日もほぼ部活で、かなり活動量が多いです。
ソフトテニスは楽しいし、もっと続けたいと思っていましたが、最近定期試験の出来があまりにも悪いので親に怒られケンカし、とても反省しています。もっと勉強して良い点を取りたいです。同時に、部活を辞めれば勉強時間が増えてたくさん勉強できるなと考えています。
部活をやめて勉強に集中するべき?でも、部活を辞めてしまうとやることがなく、取りえがなくなってしまい、何より後悔するんじゃないか。悩みに悩んでもなかなか答えが見つかりません。どうすればいいのでしょうか。(にじ・中学2年女子)
部活をやめても勉強時間は増えない
こんにちは。石田勝紀です。とても真剣に考えていて素晴らしいと思います。ただ、今の問題の本質は「部活を続けるかやめるか」ではなく、「限られた時間でどう正しい勉強法で勉強するか」にあると思います。
多くの人が勘違いしやすい点があります。「部活をやめたら勉強時間が増える」と思いがちですが、実際にはそうはなりません。今まで部活に使っていた時間が空いたとしても、その時間を勉強に充てられる人はほとんどいません。おそらくスマホ時間が延びるだけです。
人間は「時間があれば成功する」のではなく、「やる目的と方法が適切だから成果が出る」のです。つまり、今のままの勉強法を変えずに部活をやめても、結果は変わらない可能性が高いのです。
勉強のやり方が間違っている
では、どうすればいいのでしょうか。答えは「勉強方法を根本から見直すこと」です。おそらく定期テストで点が取れないのは、勉強時間が足りないからではなく、方法が間違っているからです。
「ワークを1周して終わり」「ノートをきれいにまとめて安心」「教科書を1回読むだけ」「英単語や漢字は書いて覚える」など、効果がほとんどない「作業」をやってしまっている中学生は少なくありません。
例えば数学は、日々学校のワークを短い時間でもいいので、3回転させておきます。3回間違った問題だけ、定期テスト直前に再度解き直す程度にとどめましょう。数学は、テスト前はほとんど勉強しません。もし、この期間に数学に時間を使っているとしたら、全科目点数が悪いはずです。
ここでは正しいやり方を一部書いておきますが、すべてを書ききれません。拙著『中学生の勉強法2.0』では中学生向けに各科目の詳細を書いてありますので、よかったら参考にしてみてください。
テスト前の過ごし方が大事
定期テストで高得点を取る子は、定期テスト前の試験勉強期間に集中して勉強しています。日頃は数学と宿題程度の勉強しかしていません。ですから部活が影響するというのはあまりないのです。
では、テスト前はどのように勉強したらいいでしょうか。まず、計画表が必要です。多教科あるなかで、それぞれの科目には勉強の段階があります。例えば、英語であれば、音読20回、学校の問題集3回転、最後に新出単語の書きのテストという具合です。この手順を間違えると点数は伸びません。
計画表に沿って手順を繰り返す
このように英語だけでも複数の段階があります。同様に多教科あるわけなので、いつ何を勉強するかを計画表に落とし込んでいく必要があります(計画表のサンプルも書籍の中に入れてあります)。
あとは、計画表に沿って、一つ一つやっていくだけです。テスト勉強の方法が一度確立すると、毎回同じ手順を繰り返すだけなので、楽です。中2の間に確立しておくと中3が楽になり、受験勉強に時間を使えます。
「両立できる仕組み」で成績UP
にじさんの「テニスが好き」「勉強も頑張りたい」という気持ちは、どちらも間違っていません。どちらかを捨てる必要もありません。大事なのは、「両立できる仕組み」を作ることです。勉強法を正せば、部活をやめなくても成績は上げられます。頑張ってみてくださいね。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など著書多数。