小テストや課題のない教科は、どうしても後回しになりがちです。勉強がおろそかになり、定期テストでひどい点を取ってしまうことも……20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。
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【お悩み】勉強の優先順位のつけ方が知りたい
勉強の優先順位のつけ方を教えていただきたいです。課題が出ない教科の勉強時間の確保について悩んでいます。
週に5時間物理の授業があるのですが、小テストがなく課題も出されません。課題や小テストがある教科を優先してしまい、勉強が後回しになっています。物理の定期テストの範囲は200ページ近くあり、前回の試験の際は復習が間に合いませんでした。物理が好きで発展レベルの授業を選択したのに、ひどい状況で今後が不安です……。
課題が出ない教科でも、日頃から少しずつ復習して理解を定着させる必要があります。継続的に学習時間を確保するためにはどうしたらいいでしょうか? 毎日の学習の優先順位のつけ方についてアドバイスをいただきたいです。(しまりす・高校2年女子)

「重要性」を意識して計画を立てよう
こんにちは。石田勝紀です。しまりすさんのように、「好きだから発展的な授業を選んだのに、それを後回しにしてしまっている」と自覚しつつ悩んでいる姿勢は、今後大いに伸びる可能性を秘めています。しかし、具体的にどうすべきかは悩みますよね。
「勉強の優先順位をどうつけるか?」という問いですが、これは多くの高校生が直面するテーマの一つです。特に、課題や小テストがある教科は「強制力」が働くため、自然と手をつけるのに対し、物理のように「課題なし・小テストなし」の科目は、どうしても後回しになりがちです。このとき大切なのは、「緊急性」ではなく、「重要性」で学習を設計するという考え方です。
勉強を「四つの領域」に分類
次のような四つの領域で日々の勉強をまず分類してみてください。
- ①緊急かつ重要:明日提出の課題、明後日の小テスト勉強
- ②緊急ではないが重要:物理のように将来の定期テストに向けた学習
- ③緊急だが重要ではない:友達に頼まれてつい手伝ってしまった課題など
- ④緊急でも重要でもない:SNSのチェックやなんとなくの動画視聴
多くの人が①の「明日提出の課題、明後日の小テスト勉強」に追われがちですが、本当に力をつけたい人は②の「将来の定期テストに向けた学習」に時間を割いています。物理はまさに②です。だからこそ、自分で時間を「決めて学習する『意志力』と『仕組み』」が必要なのです。

最初に時間を確保しよう
物理を日常的に学ぶためには、物理を学ぶには、「空き時間」ではなく、「あらかじめ時間を確保すること」が大切です。例えば、「月・水・金の放課後30分は物理復習タイム」「日曜の午前中1時間は物理の過去問を解く時間」というように「曜日+時間帯」でルーティン化すると、自然と「習慣」になります。これは「物理が好き」というしまりすさんにとって、苦ではなくむしろ楽しい時間に変わるはずです
【1日の学習優先順位】3段階に分けてスケジュールを作る
毎日の自分の学習は、以下の手順でデザインしてみてください。
- ①その日にやるべき「緊急かつ重要」な課題を洗い出す
- ②「緊急ではないが重要」な時間(=物理など)から入れていく
- ③その他の時間は、その日の疲労具合に応じて予備学習や軽めの復習
このとき「やるべきこと」を書き出すだけでなく、「いつ・どこで・どのくらいやるか」をセットで決めるのがコツです。スケジュール帳やアプリを使ってもいいので、具体的に「時間をブロック」してしまいましょう。

優先順位は固定しなくてOK
最後に大切なのは、「優先順位は固定ではない」ということです。定期テストが近づけば物理の時間を増やし、他の教科の小テストがあればそちらを優先しても構いません。
ただ、「好きな教科をコツコツ学びたい」という気持ちを見失わないこと。それこそが本当の「自分軸」です。「重要軸×緊急軸」の考え方ができるようになると、勉強のみならず今後の人生のあらゆる局面でも大いに役立ちます。ぜひ、この機会に試してみてください。応援しています。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など著書多数。