今年「国際地理オリンピック」に出場した日髙洸城さん(宮崎・宮崎西高校3年)は、生徒会長、応援団の副団長に加え、体操部と英語ディベート部に所属。底抜けにパワフルな「やりたいことはすべてやる」マインドだ。(中田宗孝)
応援団、体操と英語ディベートを兼部する生徒会長
学校生活では「生徒会で生徒会長」を務めながら、約40年の歴史ある「応援団の副団長」として声を張りあげる。さらに部活は「体操部」と「英語ディベート部」を掛け持つのだから驚きだ。「興味を持ったらやってみないと気が済まないタイプ。目立ちたがり屋でもある。誰かが自分より目立ってるとうらやましく感じちゃう(笑)」

「面白そう!」「楽しそう!」「カッコいい!」。そんな、好奇心の赴くままに参加する団体があれもこれもと増えたという。
多忙すぎる放課後「目の前のタスクに全力」
アクティブすぎる放課後を紹介しよう。生徒会室で会議に参加した後、高校から始めたという体操部の練習に向かう。「元バスケ部なので運動神経的には問題ないです。『床』と『跳馬』が得意種目」
運動部の次は文化部の英語ディベート部へ。中学から取り組んできた英語ディベート力をさらに磨く。議題に対する白熱の議論は、もちろん英語で交わされる。それぞれの活動時間帯はかぶることが多く、30分刻みでまわる日もあるとか。「一つの活動に割ける時間が限られているので、集中力を高めて目の前のタスクに向き合います」
朝4時に起床して勉強
「行動は誰よりも早く」が流儀。午前4時に起床して登校までの朝時間に余裕をもたせるのは、勉強時間に充てるためだ。
宮崎西高チームの一員として、「科学の甲子園」全国大会に2年連続進出を果たした実績の持ち主でもある。大会に向けた理系科目の勉強もこの時間を活用。今年は、地理に関する知識を世界各国の高校生と競う「国際地理オリンピック」の対策に多くの朝時間を費やした。

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<ある日のスケジュール>
4時~6時 起床後に国際地理オリンピックの対策、学校の課題などの勉強
6時~6時20分 出発準備
6時20分~6時45分 登校。片道7~8kmを約25分かけて自転車通学している
7時~8時15分 職員室前の自習机で勉強
8時半~17時 授業
17時~17時30分 生徒会活動
17時30分~18時30分 応援団の練習
18時30分~19時 体操部の練習に参加
19時半 帰宅後に入浴
20時半 勉強
21時 就寝
「垂れ幕」が飾られた光景を見たい
なりたい自分を思い描きながら、国際地理オリンピック出場を射止めた。「もし金メダルを取れたら、校舎に自分の名前が入った垂れ幕が飾られる。その光景を見たいと思ったのも応募動機の一つ(笑)」
国際大会での地理の試験は「記述問題」「マルチメディア(地図やグラフなどの資料を見て解答)」「フィールドワーク」の3種類で、英語での解答が求められる。地理の面白さは「文系と理系を融合させたような学問」だという。「出題されたグラフや図を読み解くと、その地域に暮らす民族や文化の成り立ちが分かってくる。それがすごく面白い」

大会前は「テーマを決めて学校周辺を散索」
フィールドワークの試験対策に力を入れた。「テーマを決めて学校周辺を散策しました。『災害』をテーマに歩いてみると、学校は高台に位置する、逆に住宅街は沈んでる、ハザードマップではどうだろう、とか」。そして、疑問や考察、地理的要因などを深掘りしていく。今大会で実際にフィールドワークを行う、開催地タイ・バンコクの地域情勢などの予習にも取り組んだ。
7月の大会本番では「台湾の選手たちと親しく交流できたり、記述問題で思ったより点数取れなくてヘコんだり。フィールドワークでは、どこに連れてかれるのかとワクワクしかなくて!」と振り返る。

「キツイときこそ成長のチャンス」
複数の活動を「いつでも」効率良くスマートに、とはいかず、並行して続けていくのがピンチを迎える場面もあった。本番迫る応援団の練習に他の活動のため参加できず、団員から苦言を呈されたことも。
学業の成績がガクンと落ち込み、親からは「どれか一つに絞れば?」と心配された。だが、逆に「じゃあ、全部頑張るか!」と燃えた。「もうプライドですね。どの活動も楽しくて、優劣もないし削れない。となると、自分が全部しっかりできるところを周りに示すしかない」
決心してからは「キツイときこそ成長のチャンス!」と考えて自らを鼓舞。「大変さを感じてるうちは、まだまだ実力や能力不足。だけど、やり遂げることができたら、自分の成長に絶対つながると信じたんです」。そして勉強に励みながら、どの活動も途中で投げ出すことなくやりきっている。
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<1週間のスケジュール>
月 生徒会の定例会
火 英語ディベート部
水 体操部
木 体操部
金 応援団
土 体操部
日 勉強/家族と出掛ける
高校最後の体育祭では団長に
部活引退や役職の引き継ぎを済ませた現在は、理系の大学を目指して受験勉強に全力を傾けている。かと思いきや、「9月の体育祭では団長をやります! 3学年が3つの団に分かれて競う団の一つで立候補しました」と不敵にニヤリ。目立ちたがりの本領発揮だ。
聞けば、夏休み中に団の中心メンバーと会議を重ね、本番で披露する団のパフォーマンス練習といった準備に連日忙しそう。「高校生活や行事を満喫しながら受験勉強も頑張る! それが僕にとって『自分らしさ』なんです」