部活中で、部員の意見が合わない時、どうやってまとめればよいのでしょうか。実際に高校生から寄せられた悩みを例に、「部内で意見が対立した時の対処法」について、リーダーシップ論に詳しい日向野幹也先生(共立女子大学客員教授)にアドバイスしてもらった。(木和田志乃)

意見が対立した時の対処法

【悩み】意見が対立してしまった…

私は吹奏楽の部長です。部員の意見は割れやすく難しいんです。コンクールに出るか出ないかなど、顧問含め意見がかなり割れました。結果的には間をとって小さめのコンクールに出ると決めたが、果たしてこれで良かったのでしょうか……。(のん・高校2年)

「目標の共有」ができてないと不満が残る

日向野先生は、「目標の設定と共有がうまくいっていない典型例」だと指摘する。「まず、コンクールに出るか出ないかを全員で話し合い、納得したうえで次のステップに進むべきでした。方針が曖昧なままでは、不満が残りやすくなります」

リーダーが最初に取り組むべき課題は、目標の共有だ。「大会に出る・出ないは、努力の方向性を左右する重大な選択です。練習が本格化する前に、出場するか否かをしっかり話し合い、目標を全員で確認しておく必要があります」

「納得しているのか」を問い直す

すでに小さな大会への出場を決めていても、「本当に自分たちは納得しているか?」と問い直す機会を、今からでも持ってみてほしいと助言する。

「出場を取りやめるリスクもありますが、不満を抱えたまま本番を迎えるよりずっと前向きです。途中からでもやり直す勇気も、リーダーには求められます」

コンクールに出るか出ないか。みんなが納得する話し合いが必要だ(写真はイメージ)

相手の立場を想像する力がカギ

意見が対立したときに大切なのは、自分とは異なる立場で考える想像力も重要だ。

「自分たちはなぜ出たくないのか、逆になぜ出たいのか、それぞれに理由があるはずです。互いの理由を理解しようとする姿勢が、話し合いを前に進めます」

感情的な対立を防ぐのは「想像力」

対立を防ぐには、相手の立場に立つ想像力が重要だ。「全体のために何がベストかを常に考えながら、相手の考えを聞いて、『相手の立場に立ったら自分も同じように思うかもしれない』と想像できれば、感情的な対立を避けやすくなります」

「いつまでに決めるか」定めよう

意見が違った場合でも、納得した上での決定は可能だという。「話し合った結果、違いが残ってもいいのです」

話し合いの前に、いつまでに決定するかを全員で確認しておけば、「本音では賛成していなくても、“今回は相手の案で行こう”と納得できる。無理に一致したように装うと結局モヤモヤした感情が残ってしまいます」

 

日向野幹也先生 

ひがの・みきなり 早稲田大学グローバルエデュケーションセンター教授などを経て、共立女子大学客員教授。東京大学社会科学研究科経済政策専攻第二種博士課程修了。 教育現場におけるリーダーシップ開発を専門とする。著書に『高校生からのリーダーシップ入門』(ちくまプリマー新書)など。

 

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