行事に取り組む時、「入賞を目指すガチ勢」「ほどほどにやれればいい勢」に分かれてしまったら、どうすれば良いのだろうか。実際に高校生から寄せられた悩みを例に、リーダーシップ論に詳しい日向野幹也先生(共立女子大学客員教授)に、「やる気の温度差問題」の解決法を教えてもらった。(木和田志乃)
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【悩み】メンバーのやる気に差がある…一致団結するには?
クラスの合唱委員をしています。合唱コンクールに向けて自主練習をしているものの、参加してくれる人が毎回同じです。できる人とできない人の差がどんどん開いていって困りました……。(おもち・高校2年)
「何を目指すのか」みんなで話し合おう
練習への参加が義務になっていて、乗り気でない生徒も珍しくない。日向野先生は、「まず大切なのは、練習して何を目指すのかをクラス全体で話し合う点です」は語る。
「優勝といった高い目標をいきなり掲げても、最初からうまくまとまるのは難しい。今のクラスの状態に合った、現実的な目標を共有する必要があります」
参加が決まっている行事だからこそ、ただ義務としてこなすのではなく、どんな意味を持たせるかを一緒に考える姿勢が大切だ。
リーダーの役割は三つある
日向野先生は、リーダーに求められる行動を「目標を設定する」「自ら動いて先導する」「周りが動きやすいように支援する」の三つにまとめる。
「目標を立てたら、それに合わせて周りをサポートする姿勢も必要です」練習が苦手な人には個別に声をかけたり、一緒に練習したりすれば、一歩を踏み出しやすくなる。

なぜ練習に参加したくないのか伝えて
合唱委員が「どうして来てくれないの?」と聞くと、「つまらないから」と返答する生徒は少なくない。指示を押しつけるだけでは人は動かない。「目標は話し合って決めるからこそ、クラス全体目標になるのです」
リーダーが一方的に「優勝を目指そう」と言っても、練習に参加したくない人にとってはひとごとに思える。大事なのは、最初から大きな目標を求めすぎないようにしよう。
目標は柔軟に見直して
「立てた目標が合わなくなったら、柔軟な見直しも必要です。意地を張らず、変えていいと示せば、みんなが安心して参加できます」
上下関係がない同級生だからこそ、対等な姿勢での関わりが大切だ。
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日向野幹也先生
ひがの・みきなり 早稲田大学グローバルエデュケーションセンター教授などを経て、共立女子大学客員教授。東京大学社会科学研究科経済政策専攻第二種博士課程修了。 教育現場におけるリーダーシップ開発を専門とする。著書に『高校生からのリーダーシップ入門』(ちくまプリマー新書)など。