松川日鞠さん(千葉・麗澤高校1年)は、学校の枠を超えた中高生9人による団体を立ち上げ、小中学生が政治に関心を持てるよう働きかけている。若者の無関心が問題視される中、「政治はおもしろい」と伝えたい一心で、奮闘する姿を追った。(文・野嶋敦子、写真・本人提供)
小学生に政治の楽しさを伝えたい
松川さんは中学3年生のとき学生団体「ぽりーず」を立ち上げた。今年3月には小学生向けの政治イベントを開催し、選挙カーでの演説体験やポスター制作体験、投票の体験などで、政治に対する興味を育む楽しい場づくりを行った。
不登校経験から政治に興味
公立の中学に通っていたが、不登校となり別室登校をしていた。中3の春、学校外に居場所を求めていたところ、インターネットで政策立案を体験するイベントを見つけた。

テーマは「自身の抱えている課題を解決する政策を作る」だった。「別室登校のため進路選択に不安を抱えていました。地方議会の議員さんと話し合って、政策を練ったんです」
活動を通して社会課題に向き合う同世代の仲間と出会い、選挙権がなくても社会を動かす一歩を踏み出せると実感したという。
「投票なんて暇なおじさんが行くもの」と言われ
高校生になり、友達に政治に興味があると話すと「あんたって珍しいよ」と言われた。「投票なんて、暇なおじさんが行くものでしょ」という言葉も忘れられない。「その時は特に言い返さなかったけれど、結構悲しくなりました。政治は高校生も身近に感じるべきトピックだし、『意識を変えられたらな』と思ったんです」
若者の投票率の低さも問題視している。「先人たちが守り続けてきた権利を無駄にしてしまうようで残念です。選挙には社会を動かす力があるのに、目を向けないまま過ぎていくのは、もったいないと思います」

「政治に触れる機会」を子どもに与えてほしい
現在、小中学生のころから気軽に政治に関われる場を広げようとしている。「今の高校生は、『政治は怖い』と思っている人もいるように感じます。バイアスがかかる前に、『政治は面白い』と思ってもらいたいんです」
そのために、全国で小中学生向けの政治イベントを開きたいという思いがある。「開催方法をマニュアル化して、全国で同じ思いを持つ高校生に共有したい。どこでも開催できるようにしたいんです」

年に一度でも小中学校で模擬選挙を行い、選挙権のない子どもたちが取り組む活動にも、理解を示し応援する社会であってほしいと願っている。
「大人は、選挙に足を運ぶのはもちろん、子どもを連れて行ったり、子どもと一緒に政治に触れたりする姿勢を持ってほしいです」