今や高校生にとって、「ハンディファン」はマストアイテムの一つだ。しかし、使い方を間違えると熱中症のリスクを高めるかもしれない。救命救急医の清水敬樹先生(多摩総合医療センター)に、ハンディファンの危険や効果的な使い方を聞いた。(木和田志乃)
ハンディファンは使い方に注意
持ち運べる小型扇風機の「ハンディファン」は、10代のマストアイテムとなりつつある。便利なアイテムだが、実は使い方を間違えると、熱中症のリスクを高める可能性がある。

「涼しいと錯覚する」原因に
ハンディファンの風が肌に当たると涼しさを感じるが、実際には熱中症を防ぐための体の反応を妨げることもある。
清水先生は、「例えば、体温が上がっているのに、涼しい風が当たっているせいで自分の熱のこもりに気づきにくくなる可能性があります」と話す。風によって一時的に涼しさを感じても、実際には体温が上がり続けていることもありうるのだ。
熱風で体温上昇の可能性
気温が高い日にハンディファンを使うと、熱風を送ってしまうこともある。「かえって体温上昇につながりかねません。ハンディファンの風が熱風のように感じられるときは、使用を控えた方が安全です」
汗が乾いて体温が下がらない
汗をかいてもすぐに乾いてしまうことで、体に熱がこもりやすくなる場合もある。汗は蒸発する際に熱を奪い、体を冷やす役割を果たすが、風で乾きすぎると体温が下がらないのだ。
肌を濡らして使うのが効果的
では、どのように使えば効果的なのだろうか。「ぬれたタオルを首に巻いたり、肌を水でぬらしてから風を当てたりすると、効果が得られやすくなります」。肌の表面に水分があれば、水分が蒸発して、体温を効率的に下げられる。
手軽に涼しさを得られるハンディファンだが、使い方を誤ると逆効果になることもある。正しく使い、暑い夏を安全に乗り切ろう。
清水敬樹先生(多摩総合医療センター)
しみず・けいき 東京都立多摩総合医療センター・救命救急センター部長。熱中症や救急救命治療などに専門的に携わる。