新入生は、「大学受験はまだまだ先」と考えていないだろうか。しかし「公募制推薦」は高1からの成績で判断されるため、今からこつこつ勉強することが大切。進路選びで後悔しないよう、高1のうちに知っておくべき情報を、進路指導アドバイザーの倉部史記さんに聞いた。(黒澤真紀)

どの高校からでも出願できる

―公募制推薦とはどのような入試方式ですか?

「学校推薦型選抜」の一つで、学校長の推薦が必要な入試です。高校の成績を5段階評価で計算した「平均評定」が、大学の基準を満たしていれば、どの高校に通っていても出願できます。学校での成績や活動実績が重視され、小論文や面接が課される場合も多いです。

大学によっては学力試験を実施する場合もあります。出願できる高校に制限がない点が指定校推薦との違いです。

公募制推薦のスケジュール

高1の成績も評価の対象に

―公募制推薦を受けるには、どのような準備が必要ですか?

高校3年間の成績が非常に重要です。大学ごとに「評定平均4.1以上でないと出願不可」などの基準があります。高校1年生の成績も最終的な評価に含まれるため、早い段階から全科目をバランスよく勉強してください。文系だからといって数学を軽視したり、興味のない科目を適当に済ませたりすると、受験に対応できなくなる可能性があり、後から困ります。

―いつまでに準備するべきですか?

高校3年生の9月頃から出願が始まるため、高3夏になってから考え始めても間に合いません。高校2年生までにオープンキャンパスに参加し、大学の雰囲気や入試の詳細を把握しておきましょう。

試験や課題にしっかり取り組んで

―どんな人に向いていますか?

課題や授業にしっかり取り組める人です。定期試験で安定した成績を取ることが、合格につながります。

スポーツや音楽、芸術など、特定の分野が秀でている人は「特別選抜」で出願できるケースもあります。一定の実績も求められるため、競技や文化活動などの成果も大切です。

定期試験で安定した成績を取る必要がある

「推薦=楽」ではない

―近年、年内に結果が出る公募制や指定校制などの学校推薦型選抜の人気が高まっています。注意点はありますか?

「推薦なら勉強しなくても合格できる」「一般選抜では厳しいから推薦で行こう」と考えていませんか? 大きな誤解です。

最近は学校推薦型選抜や総合型選抜でも、基礎学力試験を課す大学が増えています。小論文や面接だけでなく、当日試験を受けるケースもあるんです。大学側も「この生徒は入学後にしっかり学べるのか」を見極めるため、試験を課しています。

学力試験を課す大学も増えている(写真はイメージ)

「とりあえず公募制推薦で」は後悔につながる

―公募制推薦での進学を考える際、何に気を付けるべきでしょうか?

公募制推薦の場合、一般選抜よりも早く合否が決まるため、「この大学なら出願できるからここにしよう」と安易に決める人が多くいます。しかし、大学や学部の内容をしっかり調べずに決めると、入学後に「思っていた内容と違う」と後悔しかねません。合格後に辞退できない大学や、高校が辞退を認めないケースも考えられます。

指定校推薦と違って、公募制推薦は倍率が高く不合格になる場合も少なくありません。募集人数を大きく超える志願者が出る場合もあるため、「推薦なら絶対に合格する」と思わず、しっかりと対策をしておかなければなりません。

倉部史記くらべ・しき 進路指導アドバイザー、高大共創コーディネーター。追手門学院大学客員教授。高校生の「ミスマッチのない志望校選び」を支援するために、全国の高校での進路講演や高校・大学の教職員向け研修などを行う。