新入生は、「大学受験なんてまだまだ先」だと考えていないだろうか。「指定校推薦」は1年生から成績をキープすることが重要なため、実は今からしっかり勉強する必要があるのだ。新入生が知っておくべき指定校推薦の仕組みやリスクを、進路指導アドバイザーの倉部史記さんに聞いた。(黒澤真紀)
高校ごとに「枠」が与えられる
―指定校推薦の特徴を教えてください。
大学が特定の高校に対して推薦枠を設け、出願資格を与える入試方式です。枠がある高校の生徒であれば、成績や校内選考の基準を満たせば出願でき、合格率が非常に高いのが特徴です。書類選考や面接を行い、合否が決まります。

「こつこつ取り組める人」に向いている
―指定校推薦はどんな人に向いていますか?
高校生活のリズムを整え、授業や課題にこつこつ取り組みながら、「定期試験で着実に成績を取れる人」に向いています。公募制推薦と違い、行きたい大学や学部の「枠」が通っている高校になければなりません。
確実に枠を得られるとは限らない
―指定校推薦を目指す際の注意点はありますか?
「枠を得られればほぼ合格」と言われますが、校内選考があります。同じ大学・学部を志望する生徒がいると、成績や課外活動の評価によって、推薦枠が別の生徒に渡るかもしれません。
加えて評定平均の基準が年度によって変更されたり、高1の時点であった指定校推薦が高3になったときになくなっていたりする可能性もあります。最初から指定校だけに絞って受験計画を立てるのは危険です。

合格後の辞退は原則できないので、志望校選びは慎重に。志望校のカリキュラムや学部の内容をしっかり調べ、「本当にここで学びたいのか」をよく考えてから出願しましょう。
高1から成績をキープしよう
―どのような準備が必要ですか?
高校1年生の最初の定期試験から成績が影響するため、特定の科目だけでなく、苦手科目も含めてバランスよく勉強しましょう。どの大学の指定校推薦枠があるか、また同じ大学でも学部や学科ごとの枠の数は高校によって違います。どの大学の指定校枠があるのかを早めに調べ、自分の学びたい分野と一致するかを確認しておくと安心です。
高2夏までにオーキャンに参加して
―進学先はいつまでに決めるべきですか?
高校3年生の9月頃に校内選考が始まるため、それまでに進学先を決めておく必要があります。遅くとも高校2年までに夏のオープンキャンパスに参加し、実際の授業や学部の雰囲気を確認しておくと、納得のいく選択ができるでしょう。高校3年の夏は最終確認程度にしましょう。

成績だけで志望校を決めないで
―指定校推薦でありがちな失敗はありますか?
成績だけを基準に志望校を決めてしまうと、入学後に「想像と違った」と後悔するかもしれません。「推薦枠があるから」と安易に選ぶのではなく、大学で何を学びたいのかをしっかり考えた上で選択しなければ、留年や中退につながる場合もあります。
指定校推薦を前提に考えすぎて、他の選択肢を検討しないのもリスクです。指定校推薦が使えなかった場合を考えて、一般選抜の準備も並行して進めておくのが賢明です。