小松島西高校(徳島)のグループは、海藻を食べる「食害魚」を活用した商品を開発・販売するビジネスプランを考案。高校生らが新規事業のアイデアで競う「第12回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)に出場した。代表して江口美空さん(1年)に大会出場までの流れを聞いた。
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小松島西高校「食害魚の活用と藻場の養殖とブルーカーボンDEニッコリリレー」(優秀賞)
ウミガメなどの餌場となる藻場の喪失「磯焼け」を防ぐため、海藻を食べる食害魚を活用した商品を開発し、販売するプラン。環境保全を図りつつ未利用資源の活用に取り組むほか、食害魚の個体数を減らし、藻場の再生につなげる。
「磯焼けを救いたい」一心でプランを作成
―大会に出場したきっかけや、どうやってアイデアを思いついたか教えてください。
大会には、学校内の部活動「雪花菜(おから)工房」の一環として参加しました。徳島の海を守るためにさまざまな活動をする部活です。

徳島県南の海の環境悪化を知り、原因を突き止めてみると磯焼け問題が深刻でした。海藻が茂る藻場(もば)をアイゴなどの魚が食いつくしてしまう問題を解決するために、「高校生が商品開発・環境保全・海洋DXの活用などの分野でできることはないか」と考えたのがきっかけでした。
アイゴはひれに毒があり、食用のための処理が大変で、一般の市場に出回らない「未利用魚」で、海藻を食い尽くす「食害魚」でもあります。
食害魚使った商品を開発、販売
―「ビジネスプラン」を提案する大会ですが、みなさんは実際に商品化と販売を行っていますね。
地元の企業と協力して、アイゴをフィッシュカツとして商品化して、サービスエリアなどで生徒が調理して販売しています。同じく食害魚であるブダイを使ったカレーを開発し、同じくサービスエリアでの販売を行っています。
企業を巻き込み目的を実現
―ビジネスプランを構築するまでのプロセスを教えてください。
私たちがしたいことは、かなり専門的な分野が多く、企業を巻き込むことから始めました。商品開発のアイデアを食品加工業者に委託。商品化を実現できたことがきっかけで未利用魚の利用価値を高めることに成功し、漁師の収入源につながりました。
海藻を育てるための肥料は、海洋保全の研究している企業に依頼をし、分析してもらいました。モニタリング調査は、潜れないので水中ドローンを活用して調査しました。
多くの壁にぶつかりましたが、企業が助けてくれたおかげで目指していたことが実現できました。
ニュースの中にヒントがある
―ゼロからアイデアを生み出すコツを教えてください。
アイデアのヒントは「ニュースの中」にあります。例えば、環境問題に取り組むアイデアは多数ありますが、一つを深堀りするのではなく、いろいろな分野をつなげて「自分たちで稼ぐ仕組み」を作りました。持続可能な事業になったと感じています。
私たちのプランどんどんまねしてください。そして、自分たちの地域で実践してください。日本海域だけではなく、世界を救う未来を一緒に作り上げていきましょう。