中川心之介さん(東京・東京学芸大学附属国際中等教育学校5年=高校2年相当)は、高校生らがビジネスプランを考え競う「第12回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)で優秀賞を受賞した。割高になりがちな「フェアトレード」商品を比較的安価に、手軽に購入できる画期的なアイデアだ。(文・写真 中田宗孝)

フェアトレード商品を買える自販機を企業へ

企業にフェアトレード商品の自動販売機を設置し、オフィスで働く社員たちが購入者となるプランを考えた。フェアトレードとは「公平・公正な貿易」のこと。途上国の原料や製品を先進国が適正な価格で購入することで、途上国の生産者や労働者の生活水準向上を目指す経済サイクルを作る取り組みだ。しかし、日本市場におけるフェアトレード商品の価格は割高なのが実情だ。

1月に行われた最終審査会でプレゼンをする中川さん

企業が社会貢献として一部費用を負担

そこで中川さんは「企業のフィランソロピー代」を活用し、フェアトレード商品の販売価格を抑えるアイデアを思いついた。

フィランソロピーとは社会貢献活動の意で、企業(または個人)が社会問題を解決するために行うボランティアや寄付、支援活動などを指す。

「企業に『フィランソロピー代』として商品費用の一部を負担していただくことで、購入者はフェアトレード商品を安く手にできます」

「押し売りにならない」販売ルート模索

起業家やビジネスパーソンからの聞き取りを通じて、フェアトレードに着目したビジネスの見直しを図ってきた。4年(高1相当)の発案当時は、個人消費者向けの小売ビジネスを思い描いていたが、「お客さんに『フェアトレード』の押し売りになってしまう」と感じ検討し直した。

企業と消費者の間にさらに企業を介するビジネスモデルへと販売ルートを変更。「企業内で働く方々にフェアトレード商品を買ってもらう。これなら、普段フェアトレードを意識していない人も職場の中で自然にフェアトレード商品を手にできます!」

フェアトレード商品のスナック菓子を販売する中川さん考案のビジネスモデルの仕組み。企業がフィランソロピー代を負担し、消費者は商品を安く買える

ベトナムでの生活がきっかけに

小中学校時代に約3年半、ベトナムで暮らし、現地の人と親交を深める中でフェアトレード商品の存在を知った。帰国後「もっと日本に浸透させたい!」との思いが発案のきっかけとなった。

ありきたりだと感じても「工夫次第」でアイデアは磨けるという。「僕の場合は、フェアトレード商品に付加価値を付けるための工夫を重ねてきました。あきらめずこだわり抜く姿勢も大切です」