中塚ノアさん(埼玉・早稲田大学本庄高等学院2年)は、Z世代のためのECサイトを作り運営するビジネスプランを考えた。高校生らが新規事業のアイデアで競う「第12回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)に出場し、審査員特別賞を受賞した。

中塚ノア「qUick」(審査員特別賞)

Z世代がEC サイトで買い物するのを促進するため、ワクワク感や共有する楽しさ”備えたEC サイト「qUick」を作成・運営するプラン。商品の使用例などを解説するショート動画が視聴可能。

プレゼンをする中塚さん(主催者提供)

ショート動画×買い物サイト

―大会に出場したきっかけは?

自主的に大会の情報を見つけて参加しました。

―どうやってアイデアを思いつきましたか?

私は元々ショート動画が好きで、スクロールしていた時、動画で紹介されていた商品を「欲しい」と思うようになりました。しかし、わざわざ調べて、ECサイトで買うという行為が、自分にとって「めんどくさい行為」だと気付きました。「それくらいなら自分で買うまでのモチベーションが途切れないサービスを作ろう」と思ったのが始まりです。

―ECサイトにどんな機能をつけることを考えましたか?

まずは、商品動画の自動再生機能です。ある商品のショート動画を見た後に、別の商品の動画が流れる仕組みです。利用者の好みに合わせた商品動画を再生するため、「衝動買い」につながるような商品との偶発的な出会いを演出します。

友達との共同購入機能もポイント。友達と同じ商品を購入した場合に、サイト画面にポップアップ演出が起こり、友達と買い物時間を共有する楽しさを感じられます。

イベントに参加して仲間探し

―ビジネスプランを構築するまでのプロセスを教えてください。

私はプログラミングなどの専門的な知識や、起業に必要なノウハウなどは一切ありませんでした。なので、最初のうちはとにかく関連するイベントに参加し、出会った人づてにさらなる出会いにつなげました。今はイベントで出会った大学生1人、大学院生1人と合計3人でチームを組み、「qUick」の開発に取り組んでいます。

―どうやって誘ったのですか?

「ただ一緒にやりたい!」と言って、チームを組んでくれるわけではありません。プランをまずは自分ができるところまで形にしようと思いました。プログラミングなどの力は使わずに、パワーポイントのアニメーションなどで自分のしたいことを再現し、自分のビジョンを2人に見せて説得したんです。

「認められない」壁にぶつかって

―大変だったことは?

壁にぶつかったことは何回もあります。最初に「きついな」と感じた壁は、チームで初めて作った成果物が、全く認められなかった時です。

自分は初めてのチーム運営であまり上手に意見を出せず、自分にもチームにも「申し訳ない」と思いました。しかし、つらい時期にチームの成果物に対してずっと応援してくれる人がいたのがうれしく、心の支えになりました。

「好きなこと」で世界を変えよう

―ゼロからアイデアを生み出すコツを教えてください。

高校生ビジネスプラン・グランプリでは、環境や社会問題に対するプランをよく見かけます。確かに重大な問題ですし、解決しなければいけない問題です。

ただ、意外と忘れがちなのが、「大会は通過点である」点です。起業は何かのコンテストで勝ったら、負けたら、終わりというわけではなく、大会後もずっと続いていきます。「社会課題を解決するため本気でプラン実行する!」のは立派ですが、それは「本当に自分の好きなこと」かどうかを自分に問うてほしいです。