伊豆伊東高校(静岡)の4人のグループは、高校生らがビジネスプランを考え競う「第12回高校生ビジネスプラングランプリ」(日本政策金融公庫主催)で優秀賞に選ばれた。地元農家の高齢化問題や担い手不足の解消を目的に、農地で行うスポーツイベントを提案した。(文・写真 中田宗孝)
「人手不足」の農家を救うビジネス案を模索
伊豆伊東高校(静岡)の4人のグループは、農作業で競技をする「アグリスポーツ」をビジネスにする企画を考えた。アグリスポーツとは、野菜畑や果樹園などの全国各地の農場で普及しつつある取り組みだ。

ビジネスプランのターゲットは、子育て中のファミリー層。人手不足などで手伝いを求める農家から依頼が入ると、「アグリスポーツ」大会を企画。参加費を支払い大会に参加すると、「アグリスポーツ」を通して農業を体験できる仕組みだ。
利渉美結さん(3年)は「若い世代が農業を支援する『援農』スポーツに参加することで、将来の新規就農者の増加や人手不足で悩む地域農家の活性化にもつながる」とアピール。子どもが楽しみながら農業を学べる「食農教育」につなげるねらいもある。
「農作業って大変」、でも「競い合えば楽しい」
昨年8月、4人はアグリスポーツの理解を深めるため、地元のみかん農家で「実集め競争」に挑戦。みかんの栽培には「摘果」という、育成促進や品質向上のために一部の実を人為的に取り除く作業がある。摘果されたみかんを、制限時間10分で数多く拾い集めて重量を競ったり、ぴったり10キロの重さを目指したりした。

「みかんはしゃがんだ体勢のままで拾う。思った以上に大変」(中村友花子さん・3年)、「4人で競い合うのが結構楽しい。アグリスポーツのゲーム性の高さを実感できた」(島津脩さん・3年)。農作業の苦労を体験しながら、競技の楽しさを感じた。
体験した「実集め競争」に加え、「高校生ビジネスプラン・グランプリ」のプレゼンでは「根っこ掘り競争」や「肥料まき競争」なども含めてプランを提案した。
「困りごとに寄り添う」気持ちを大切に
ビジネスプラン作りは、課題研究の授業でチームを組んで行った。当初は、公共バスの本数を増やすアイデアを模索したが、行き詰まった。校内で行われた農業関係者の講演でアグリスポーツを知り、新たな着想を得たという。
プランを作るうえで大切にしたのは、「農家の困りごとに寄り添うこと」だ。「地味で重労働な農作業の雑務的な部分である、草むしりや摘果作業を種目にしました」(利渉さん)