高校入学までは少しばかりやんちゃだった飯田君は、ボクシングを始めて、生まれ変わった。きっかけは、元プロボクサーの永藤理監督との出会い。今年3月には全国大会で勝利を挙げるまで成長した。

ボクシング部に勧誘したのは、永藤監督だ。「もともと格闘技が好きだったし、ボクシングにも興味があった」という飯田君。体格もよく腕力には自信があったが、「やってみるか?」と誘われた永藤監督とのスパーリングで「ボコボコにされた(笑)」。まったく歯が立たなかったが、「このままじゃ終われない」と闘争心に火がついた。最初は「体は思い通りに動かないし、すぐに体力が切れてきつかった」ものの、ボクシングへの情熱は急速に増していった。

永藤監督は飯田君を「学習能力が高く、パンチを打たれても次のラウンドやスパーリングで修正できる。まだまだ課題はありますが、一戦一戦強くなっています」。何より努力を惜しまない点を高く評価している。「自宅にサンドバッグをつるしたり、近所にある筑波山の山道を走ったり、学校以外でもトレーニングをやっているようです。ボクシングを始めて心も変わったかもしれません」

3月に出場した全国高校選抜大会の初戦では、中国ブロック王者を圧倒。初戦敗退した昨年の全国高校総体(インターハイ)で果たせなかった「全国大会での勝利」を手にした。「序盤から足を使って手数も出せた。1ラウンド目からリードでき、スタミナ面でも安定した試合ができました」。続く準決勝は相手の巧みな戦術に敗れたが、大きな手応えをつかんだ大会となった。

高校生活最後の年の目標は「関東大会を突破して、インターハイで優勝すること」。そして将来的には「プロボクサーとして活躍したい」という夢を持っている。筑波ボクシング部の練習場には「限界挑戦」という部訓が掲げられている。飯田君は得意の右ストレートを武器に、これからも限界に挑戦していく。(文・写真 小野哲史)

学校紹介

1950年創立。飯村隆校長。生徒数403人。「歩く会」「百人一首大会」など、行事が盛ん。