スマホを長時間使用する生活が当たり前になった現代。読者の高校生237人に「健康の悩み」を聞いたところ、3割以上が「スマホ首」とも呼ばれる「ストレートネック」に悩まされていた。ストレートネックを改善方法する方法や、正しい姿勢を作るポイントを、姿勢に詳しい北里大学の高平尚伸教授(スポ―ツ理学療法学)に聞いた。(黒澤真紀)

スマホの使い過ぎで首が変形

―スマートフォンを長時間使うことによる首への影響を教えてください。

スマートフォンを見ようと、画面と顔を近づけると首が前に出るため、「ストレートネック」(スマホ首)になりやすくなります。本来、首は前に向かって緩やかに弯曲しています。ストレートネックはこのカーブが失われ、首がまっすぐな状態です。さまざまなタイプがあり、通常と反対に後ろへ弯曲している場合や、S字状に曲がっているケースがあります。

―自分がストレートネックかどうか確かめる方法はありますか?

レントゲンを撮らなければわかりません。整形外科では、どのタイプのストレートネックかがわかりますし、他の病気や骨の異常がないかを確認できます。ただし、一般的な診察では「ストレートネック」と伝えられるだけで、詳しい改善方法までは教えてもらえないケースが多いです。姿勢に詳しい専門の先生に相談して、適切な治療や対策を進めるのがおすすめです。

こりや痛みの原因になるスマホ首、ストレッチで改善

―ストレートネックによってどのような体の不調が起こりますか?

首こりや肩こり、首の痛みや頭痛、めまいなどさまざまな不調が起こります。

―ストレートネックを改善するためのストレッチを教えてください。

あごを引いて首を整えるストレッチがあります。

ストレートネック改善ストレッチ
  • ①あごをぐっと引き、首をまっすぐに整えます。少し二重あごになる感覚を意識します。
  • ②あごを引いた状態をキープしながら、頭を正しい位置に戻します。
  • ③あごを引いたまま、ゆっくりと上を向いていきます。頸椎(けいつい)や頭の上だけが動かないよう注意してください。
  • ④この動作を数回繰り返し、首の筋肉をリラックスさせます。

違和感があるのは、縮んだ筋肉を伸ばしている証拠です。丸まったカレンダ―を逆に巻いて真っすぐにするように、縮んだ筋肉を逆に動かしてバランスを整えているのです。続ければ体が正しい姿勢を覚えていきます。

ストレートネックは、多くの場合、巻き肩と一緒に起きるので、首だけでなく肩も正さなければなりません。姿勢は縦と横のバランスが大切。首と肩の両方を整えれば、立体的に正しい姿勢を作れます。

たかひら・なおのぶ 北里大学医療衛生学部・[健西1] 大学院医療系研究科教授。整形外科、スポーツ医学、スポ―ツ理学療法学や運動器(整形外科)リハビリテ―ションに関する幅広い研究を行う。科学的根拠に基づいたリハビリやストレッチ法を提案。『つらい痛みや不調が消える 家でできる 超快適ストレッチ』(KADOKAWA)など著書を多数執筆。
 

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