教科書が重くなり、タブレットなど教材が増えている。読者の高校生に聞いたところ、「肩こり」に悩まされている人が多くいた。肩こりが引き起こす不調や、簡単にできる肩こり改善ストレッチを、姿勢に詳しい北里大学の高平尚伸教授(スポーツ理学療法学)に聞いた。(黒澤真紀)

重い荷物やスマホが肩こりの原因に

―高校生の肩こりの原因を教えてください。

教科書やタブレットなど、毎日重い荷物が原因の一つです。さらにはスマホをよく見る習慣も影響します。スマホの画面を見ようとすると首が前に出ます。頭の重みを支える筋肉が緊張して硬くなり、血流が悪化して肩こりを引き起こします。

―肩こりによって起きる体の不調は?

頭痛につながります。自律神経にも影響を与え、吐き気や気分不良を引き起こします。

「肩甲骨」をほぐして肩こり改善

―肩こりを緩和するにはどうすればよいですか?

肩こり解消でポイントになるのは「肩甲骨」です。長時間同じ姿勢だと、肩甲骨の動きが悪くなり、周りが固くなってしまいます。肩甲骨を動かすように意識してください。

―肩甲骨を動かすストレッチを教えてください。

一つ目は、肩甲骨ストレッチです。四つん這(ば)いになって腰を落とし、両腕をできるだけ遠くに伸ばします。肩甲骨の周りが伸びているのを感じてください。

肩こりを改善する肩甲骨ストレッチ

二つ目は、小胸筋ストレッチ、大胸襟ストレッチです。縮こまった小胸筋や大胸筋を伸ばします。タオルの端を両手で持ち、頭の後ろを通過させるようにタオルを上げ下げしてください。 腰を反りすぎないよう注意してください。痛みを感じない範囲で、自分でバランスを見ながら行ってください。腰を動かすのではなく、上半身だけを意識して調整するのが理想です。体幹を意識し、適度に力を入れて整えると、安定した姿勢を保ちやすくなります。

タオルを使って肩こり改善

姿勢を整えるには、前側の筋肉を伸ばし、後ろ側の筋肉を鍛えるバランスが重要です。肩甲骨の間にある筋肉が伸びきっている場合は、肩甲骨を寄せる動きで筋トレを行い、背中の筋力を強化すると、前側の筋肉も自然に伸び、姿勢が改善されます。

―普段の生活でできることはありますか?

通学には片方の肩にかけるスクールバッグより、負担が均等にかかるリュックを使うのがおすすめです。リュックは肩や背中全体に荷重を分散できるため、筋肉の偏りや疲労を軽減し、肩こりの予防に効果的です。

たかひら・なおのぶ 北里大学医療衛生学部・[健西1] 大学院医療系研究科教授。整形外科、スポーツ医学、スポ―ツ理学療法学や運動器(整形外科)リハビリテ―ションに関する幅広い研究を行う。科学的根拠に基づいたリハビリやストレッチ法を提案。『つらい痛みや不調が消える 家でできる 超快適ストレッチ』(KADOKAWA)など著書を多数執筆。
 

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