高校生新聞読者の中高生236人にアンケートしたところ、73人が「冷え症」に悩んでいると回答し、「靴下を履いても足が冷える」という声が寄せられた。足が冷える原因と足の冷えを和らげる対策を、冷え症外来を営む横浜血管クリニックの林忍先生に聞いた。(木和田志乃)

靴下の「二重履き」は逆効果

―足が冷えるのは何が原因ですか?

血液は重力によって、下半身にたまりやすいです。足まで流れてきてたまった血液は、上半身に戻りにくく、血行が悪くなって冷えやすくなります。

制服でも足を冷やさない方法

―靴下を選ぶ際のポイントは?

足を温めようと保温性の高い靴下を選び、汗をかいてしまうと逆に冷えてしまいます。「綿の入った吸湿性の良いもの」を選んでください。

靴下の重ね履きをしたり、小さな靴を履いたりするのは足を締め付けている状態です。血行が悪くなりますので、ゆったりしたものを選んでください。

カイロは「腰に貼る」のがおすすめ

―カイロは手軽に足を温める手段ですが、「貼ると血流がよくなってかゆくなる」という声も寄せられました。

体が温まるとかゆみを引き起こす物質が分泌されたり、かゆみを伝える神経の活動が高くなったりします。そのため、カイロを使うとかゆくなるのは当然の反応です。

―おすすめのカイロの貼り方を教えてください。

かゆみが出るときには厚地の生地に貼るなど、皮膚に伝わる温度を少し下げるようにしてみましょう。体の中心部を温めると全身の血流がよくなりますので、カイロは腰に貼ることをおすすめします。

つま先伸ばすストレッチが効果的

―女子高校生は制服のスカートをはく人が多く、脚が冷えやすいです。対策はありますか?

スカートは足が外気にさらされやすく、脚を冷やしてしまいます。校則で服装が自由に選べない場合も多いですが、タイツを履く、スカートではなくスラックスを選ぶなど工夫してみてください。

通学中は、なるべく速く歩きましょう。運動は体を温めることに効果的なうえ、冷たい外気に触れる時間も短くなるので冷えにくくなります。

―学校でもできる脚の冷え対策やマッサージがあれば教えてください。

椅子に座って片足を軽く上げ、つま先を手前に引いたり、遠くに伸ばしたりするのを繰り返すのが効果的です。つま先を手前に引いたときにふくらはぎが伸びるように意識してください。手のひらを使って、服の上から膝からももをやさしくさするのも温められます。

林忍(はやし・しのぶ)

医療法人慶祐会「横浜血管クリニック」理事長・院長。医学博士。慶應義塾大学外科学教室講師(非常勤)。慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院等で血管外科専門医として20年間勤務し、1万人以上を診療。あらゆる血管に関する診療を行う。