高校生の遊びの定番であるカラオケ。しかし、中には、歌が下手でカラオケが苦手という人もいるだろう。高校生から寄せられた「音程がとれない」「声量がない」「音域が狭い」「緊張で声が震える」という四つの悩み別克服法を、「カナリアミュージックスタジオ」で代表講師を務めるボイストレーナーの藤嶋拓未さんに教えてもらった。(和田七望=学生ライター)
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声の調子が「一定」はNG、声帯の開閉を意識して
―カラオケが苦手な人、下手な人にはどんな特徴がありますか?
音がずれていたり、音程が取れていなかったりすることが「分かっていない人」が多いです。歌っていると喉が痛くなったり、声がかれてきたり、声が続かなかったりする人も下手に聞こえやすくなります。
声がれは、声帯が開いていることによる「喉の乾燥」が原因のひとつなので、息を止める、吐くを繰り返して、声帯の開閉の感覚をつかむのがおすすめです。ずっと声の調子が一定で変化がないのも、下手に聞こえやすいですね。
【音程が取れない】ピアノのアプリで練習を
―「カラオケが苦手」といっても、苦手な理由はさまざまです。例えば、音程がとれない人はどのような原因と対策が考えられますか?
音程がとれないと悩んでいる人は、日常的に音楽を聴いておらず、「インプットが足りていない人」に多いです。自分が出している声がどの程度の高さなのかが分かっていない場合があるので、ピアノのアプリで音を出して、その高さに合わせて声を出す練習をするのがおすすめです。ピアノの音と自分の声が同じ音になっているか、音の変化についていけているかを確認しながら、コツコツ練習してみてください。
【声量がない】ショートブレスで息を吐く
―声量がない人はどう克服すればよいですか?
普段からしゃべり声が小さい人は、喉の筋肉を使っていないため、声量がない場合が多いです。日本語はハキハキ話さなくても何をしゃべっているか分かる言語なので、筋肉を使わなくなるんです。
そんな人におすすめなのが、ショートブレスです。「静かにして」と合図するときに「シッ」と言うようなイメージで、息を強く、鋭く出す練習をしてみてください。
【音域が狭い】ロングブレスでリラックスして
―音域が狭い人には、どんな練習がおすすめですか?
音域が狭まってしまう原因のひとつは、リラックスしていないから。構えが硬くなって、身体のどこかに余分な力が入っています。身体をリラックスさせて、声をやわらかく伸ばすのを意識してみてください。
おすすめなのは、ロングブレスの練習です。腹式呼吸をすると、副交感神経が優位に働き、リラックスできます。息を吐き切ったところで胴と膝をくっつけるように上体を倒すと、おなかの周りが動き、横隔膜が下がります。そうすると、おなかが動き、空気が肺の中にたまるのが分かるはずです。繰り返しやってみてください。
【緊張してしまう】イメトレを取り入れてみて
―最後に、緊張して声が震えてしまう場合のアドバイスをお願いします。
声の震えは、技術より精神的な部分を整えることが大切です。場数を踏んでいないのが原因だと思うので、慣れてくれば緊張しなくなりますから、安心してください。
緊張をやわらげるうえでおすすめなのが、「一人のときに緊張する」イメージトレーニング。その場に何人くらいいるのか、誰がいるのか、シチュエーションを具体的に想像してみてください。
イメトレは、本番に緊張してしまうという生徒にも、レッスンでしてもらっている方法です。そこにどのくらいの観客がいて、ライトがどんなふうに当たっていて……というように、ひとつずつシチュエーションを具体的にしてイメージすると、どのように歌うか考えやすくなります。前準備としてやってみると、本番で緊張しにくくなるはずです。
どうしても緊張に弱いという人は、思い切ってみんなでノれる曲を入れて、大人数で一緒に歌うのもいいと思います。
唇を震わせてウオーミングアップ
―友達とカラオケに行ったときでも、バレずにできるウオーミングアップを教えてください。
ブレスはリラックスにもつながりますし、バレずにできると思います。軽くストレッチをしたり、友達の歌にノリにいきながら身体の緊張をほぐしたりするのもおすすめです。
唇を震わせるリップロールは、すぐにできるので取り入れやすいと思います。1発撮りでパフォーマンスするYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でアーティストが歌唱前にやっている場合もあるので、知っている人も多いのでは。リップロールは、口周りの筋肉がゆるんでいないとできない動きです。脱力している状態を保つのにおすすめなので、ぜひやってみてください。
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