人気声優の高橋李依さんにインタビュー。「自信を持つためには?」「やる気を出すには?」と、高校生から寄せられた悩みに、自身の経験を省みながら前向きに答えてくれました。(文・中田宗孝、写真・幡原裕治)
自信を持つ秘訣は「褒め言葉を素直に受け取る」
―高校生から届いた質問です。「なかなか自分に自信が持てません。高橋さんが自信を持つために心掛けていること、大切にしている考え方はありますか?」
自分を褒めてもらった言葉は、自分自身で否定せずに受け入れることです。それが自分のバランスを保つのに大切だったかなと私は思います。「いつも引き出し綺麗ですごいね」「何でも話しやすいね」。褒め言葉はそんな友人からの何気ない一言。そう言われたとき、「えー、そんなことないよ」と、つい口グセのように返してしまう人も結構いると思うんですけど、せっかく褒めてもらった言葉を自分自身で否定しない。シンプルにうれしい気持ちのまま素直に受け取ってみてください。
ちょっとしたことでも、周りの人たちからいただいた自分への良い言葉を一つ、また一つと重ねていくことで「自分らしさ」を知り、自信へとつながっていくのだと思います。

「声優になりたい」中学生で決意、嫌なことも将来の言動力に
―続いての質問です。「何もする気が起きず、やるべきことが手につかないときがあります。高橋さんはそんなとき、どう自分を奮い立たせていますか?」
「これを頑張ったら将来につながるんだ!」。そう私は考えるようにしています。すごくやりたくないことでも、夢や目標につながるビジョンが見えたらやる気が湧いてくるんです。
私は中学生のころから声優になりたいと夢を描いていました。「将来、声優になるんだ」という強い思いを学校生活のさまざまな場面の原動力にしてきたんです。例えば「長距離走はめちゃくちゃ嫌だ」と思ったら、「体力をつけて肺活量もアップできれば、声優になったときに役立つかも」と考える。「勉強やりたくないな~」と感じたら、「もし声優になるための書類審査があったときにちょっとでも良いことを書きたい!」と思う。
すべてを声優になるために必要なことだとこじつけていたんですね。なかなか強引なこじつけもあったかと思うけど(苦笑)。やる気が起きないとき、苦手なことに取り組むとき、私は声優につながると思って、踏ん張ってきました。
役名そっくり「もう私じゃない?」キャラに親近感
―劇場アニメ「がんばっていきまっしょい」では、高校ボート部員・高橋梨衣奈の声を担当。劇中では「リー」というあだ名で呼ばれる高校2年生です。
私の名前と役名がすごく似ているんです。「あなたも高橋なの? もしかしてクラス名簿に『高橋(梨)』なんてカッコ付きで書かれてない? 学生時代、私は『高橋(李)』だったよ(笑)」なんて、キャラクターに対する思いが募っていました。それもあり、「私がこの役を演じたい」という強い気持ちで、今作のオーディションに臨んだんです。
実際にリーの役をいただき、両思いになれたのがすごくうれしくて。しかも彼女は、埼玉からの転校生という役どころ。実は私も埼玉県出身なので、「もう私じゃないの」って(笑)。

―声の演技をどのように考えてアフレコしましたか。
監督からは「リーは、自然体とアニメっぽさの間を狙ったお芝居で」というディレクションをいただいたので、そこを目指していきました。全体で見た時に会話のバランスが取れていて、現実離れしたアニメキャラクターにはなってしまわないラインですね。
もう少し具体的にいうと、「◯◯しすぎない声」を意識しています。キャピキャピしすぎない、うるさすぎない、気を遣いすぎないなど。さまざまなシーンで感情表現のメーターを振り切らないようにして、アニメキャラになりすぎないお芝居を目指しました。
―「リアル寄り」の声にしたことで、よりキャラクターが際立つと。
そうですね。今作は女の子5人を中心とした物語なので、他のキャラクターの雰囲気としっかり棲み分けられるよう、グラデーションも意識した部分ではあります。
私が演じるリーは、5人を繋ぐような子でありながら、自分が興味を抱いたことには真っすぐに向かっていく。そんな彼女の芯の強さと、周囲を心地よくさせるような明るさを、声でも表せていけたらなとアフレコに挑みました。
★後編の記事はこちら
高橋李依さんのサイン色紙をプレゼント!
高橋李依さんのサイン色紙を1人にプレゼントします。高校生新聞編集部LINE公式アカウントとお友達になってから、「高橋李依さん色紙希望」と明記の上、「学校名・学年・性別(差し支えなければ)・記事の感想」をメッセージに書いて送ってね。応募資格は高校生・中学生に限ります。11月30日締め切り。当選者には編集部からメッセージでお知らせします。
劇場アニメーション「がんばっていきまっしょい」
愛媛県松山市の高校2年生・悦子(声・雨宮天)は、家と学校を往復する単調な毎日を過ごしていた。ある日、クラスの転校生・梨衣奈(声・高橋李依)の半ば強引な誘いで、幼なじみの姫(声・伊藤美来)とともに廃部寸前のボート部の部員にさせられた悦子。復活を果たした部に同学年2人も加わり、女子高校生5人のボートに懸ける青春が今始まる! 配給・松竹。10月25日(金)から全国公開。
(C)がんばっていきまっしょい製作委員会

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たかはし・りえ
2月27日生まれ、埼玉県出身。2013年、声優デビュー。主な声の出演作は、TVアニメ「魔法つかいプリキュア!」(朝日奈みらい、キュアミラクル役)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(エミリア役)、「ゆるキャン△」(斉藤恵那役)、「からかい上手の高木さん」(高木さん役)、「【推しの子】」(アイ役)ほか多数。メンバーとして参加する声優ユニット「イヤホンズ」やソロとして歌手活動も行う。