人気声優の高橋李依さんにインタビュー。高校生から寄せられた「自分らしくいたいけど、いつも人の目を気にしてしまう」という相談に、自身の経験を交えてアドバイスを送ってくれました。(文・中田宗孝、写真・幡原裕治)
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自分と相手の境界線を意識して
―高校生からの質問です。「いつも人の目を気にしてしまいます。周囲を気にせずに、自分らしく過ごすにはどうすればよいですか?」
「もっとすてきになりたい、変わりたい」と思える心優しい人ほど、相手の言葉を吸収しやすい気がして。自分への言葉だったとしても、何でもかんでも自分のための言葉ではないので、そこは自分自身を大事にしてほしいです。
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周りの目が気になるのなら、「自分と相手の境界線」を明確に分けるのがいいのかも。自分の境界線が例えば円形であったとしたら、相手にもその人だけの円の境界線がある。相手から自分に対して言われた言葉は、自分と相手の境界線と境界線の間にいったん置いておく。自分にとって必要な言葉なら境界線の内側に入れてあげて、マイナスに感じる言葉だったら、無理して自分の境界線の内側に入れなくていいんです。
―そのマインドで高橋さん自身も自分らしくいることができるのですね。
そうですね。例えば私だと、ふとしたタイミングやお酒の席などで、お芝居や人生についてのアドバイスをいただける機会がありまして。お芝居に対して「A」という考えを持っている方もいれば、まったく逆の「B」という考えを持つ方もいる。「どちらも正しいから叶えなきゃ!」と行動し始めると、いつの間にか苦しくなっているんです。
そんなときには、「A」と「B」が自分の境界線の外側に並べてあるイメージで、選択式にする。そこから、どちらかでもいいし、それぞれのアドバイスのいいなと感じた部分だけでもいいし、外からゆっくり見つめてから自分の内側に入れてみるような感じです。「自分本位で選択していいんだよ」とは伝えたいですね。
放送部と軽音楽部を掛け持ちした高校時代
―高校時代はどんな学校生活を過ごしていましたか?
放送部と軽音楽部を掛け持ちしていて、部活動に熱中していた高校生でした! どちらか選びきれず、両方やっちゃいました(笑)
私が高校生のころは、「アニメ好き」というのはクラス内でも小さなコミュニティーで。普段、オタクな話題を出しづらい雰囲気ではあったんです(苦笑)。でも私の学校の放送部には、アニメが好きな部員がたくさん集まっていたので、思う存分、部内でアニメ・声優さんトークをしたりしていましたね。
放送部の全国大会「NHK杯全国高校放送コンテスト」のアナウンス部門への進出を目指して、県大会に出場した経験も思い出深いです。確か、声優さんの中にも「Nコン」に参加したことのある方、結構いるんです。
スポーツで使う筋肉を意識しアフレコ
―劇場アニメ「がんばっていきまっしょい」はボート競技に青春を懸ける女子高校生たちの物語。ボート部員ならではの発声はありましたか。
ボート競技の専門用語がどんな状態かを都度確認したり、ボートをこいでいる最中の息づかいに注意を払ったりしていました。別録りで、いろいろな息づかいのみの収録も行ったんです。
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―スポーツなどの激しい体の動きがともなう際の声の演技で意識していることはなんですか?
どこの筋肉に力が入るのかは意識しました。アフレコではマイクの前に立って演じるしかありませんが、実際にはどの筋肉がピンと伸びているのかとイメージしながら声を出すようしています。腕に力が入っているのか、足に力を入れているのか、片腕だけなのか、両腕の筋肉を使うのか……。力の入り具合を意識しながらのお芝居を心掛けました。
作品に出ない「仮のボイスキャスト」に助けられ
―アフレコの向き合い方は、劇場アニメとTVアニメでは異なるのでしょうか。
今作は特に、CGの作品であったことも大きかったと思います。CG作品では、より長い時間をかけて映像づくりをしていて。実は、キャラクターの声を担当する私たちがアフレコをするよりも先に、仮のボイスキャストさんが声をあてていたりもするんです。
私たちはその仮の声が入った、完成しつつある映像を見て、会話のテンポ感やタイミング等をチェックしていきます。仮の声を聞くと、制作スタッフさんたちの目指している方向性もとても分かりやすく伝わってきますね。
―そのような制作手法があるのですね。
はい。実は、演じたお芝居が表に出ないキャストさんもいらっしゃるんです。私自身、デビュー間もない新人声優だったころ、仮のボイスキャストとして作品に参加して経験を積ませていただいたこともあります。
劇場アニメ作品はセリフ量も多いので、アフレコ現場の経験が少ない新人にとって貴重な場。きっと今作の仮のボイスキャストさんたちも、役と向き合いながら一生懸命演じてくれたのだと伝わってきます。みなさんにはすてきなガイドをありがとうございますと伝えたいですし、近い未来、共演する機会を楽しみにしています。
高橋李依さんのサイン色紙をプレゼント!
高橋李依さんのサイン色紙を1人にプレゼントします。高校生新聞編集部LINE公式アカウントとお友達になってから、「高橋李依さん色紙希望」と明記の上、「学校名・学年・性別(差し支えなければ)・記事の感想」をメッセージに書いて送ってね。応募資格は高校生・中学生に限ります。11月30日締め切り。当選者には編集部からメッセージでお知らせします。
劇場アニメーション「がんばっていきまっしょい」
愛媛県松山市の高校2年生・悦子(声・雨宮天)は、家と学校を往復する単調な毎日を過ごしていた。ある日、クラスの転校生・梨衣奈(声・高橋李依)の半ば強引な誘いで、幼なじみの姫(声・伊藤美来)とともに廃部寸前のボート部の部員にさせられた悦子。復活を果たした部に同学年2人も加わり、女子高校生5人のボートに懸ける青春が今始まる! 配給・松竹。10月25日(金)から全国公開。
(C)がんばっていきまっしょい製作委員会
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たかはし・りえ
2月27日生まれ、埼玉県出身。2013年、声優デビュー。主な声の出演作は、TVアニメ「魔法つかいプリキュア!」(朝日奈みらい、キュアミラクル役)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(エミリア役)、「ゆるキャン△」(斉藤恵那役)、「からかい上手の高木さん」(高木さん役)、「【推しの子】」(アイ役)ほか多数。メンバーとして参加する声優ユニット「イヤホンズ」やソロとして歌手活動も行う。