的確にゲームをコントロールした高辻真子

「力がない」に奮起

2年連続でインターハイ、国体、ウインターカップを完全制覇――。桜花学園の強さは圧倒的だが、井上真一監督(68)は「今年のチームはエースがいない。(インターハイ、国体、ウインターカップの)3冠を取れるとはとても思わなかった」と振り返る。
 
 新チームの始動時、井上監督は「お前たちには力がない」と、選手たちに容赦ない一言を浴びせたという。
 
 しかし選手たちは、その言葉に落ち込むどころか、奮起する。「『弱い』と言われ続けてきたからこそ、自分たちも絶対に勝ってやろうという強い気持ちでやってきた」と言う高辻真子主将(3年)=愛知・若水中出身=を中心に、「得点が伸びない分はディフェンスで補おう」と練習に打ち込んだ。

追い上げかわす

決勝の相手はインターハイ、国体で頂点を争った昭和学院(国体は選抜メンバーのみ出場)。馬瓜(まうり)ステファニー(1年)=同中出身=が昭和学院のエース・赤穂さくら(3年)=千葉・昭和学院中出身=を前半3得点に抑える好守を見せると、後半は「もっと攻めていこう」というチームメートの言葉に背中を押された加藤優希(3年)=愛知・若水中出身=が、次々と得点を重ねた。昭和学院の懸命の追い上げをかわし、優勝の瞬間を迎えた。
 
 事あるごとに「エースの自覚がない」と井上監督に言われ続け、悔しい思いをしてきた加藤が胸を張って言う。「先生には『エース不在』と言われたけど、みんながエースだと思って、どこからでも点を取れるバスケットができたことが勝因です」

【TEAM DATA】
1955年創部。部員27人(3年生6人、2年生11年、1年生10人)。ウインターカップ、インターハイとも32年連続出場。昨夏のインターハイも3年連続20度目の優勝を果たした。