クラスメートとの相性が悪いと、学校生活はつらいものになります。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「クラスメートがうるさくて受験勉強に悪影響が出ている」という悩みに答えてもらいました。
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【お悩み】クラスメートがうるさくて受験勉強に悪影響
私の所属する学校のコースはクラスがひとつしかなく、3年間クラス替えがありません。クラスメート同士はとても仲良しですが、私はずっと全くなじめていません。クラスメートが嫌いで、なじもうとも思っていません。ただ、授業中のクラスメートのふるまいが気になります。
授業中のクラスメートのふるまいが気になる例えば、授業中にカップルがずっとしゃべっていて、先生に注意されてもやめません。移動教室で授業を受けるとき、先生に「席をくっつけるな」と言われても毎回席をくっつけてしゃべっている生徒もいます。そのせいで、私は受験生なのに勉強に集中できないのです。
さらに最近、クラスの大半の人に私が陰でいじられていることを知りました。心が不安定になり、泣いてしまうことも。誰に相談しても、私は強く見られがちで、「あなたの性格なら大丈夫」「あなたのメンタルなら大丈夫でしょ?」と思われてしまい、心から解決できたとは思えません。どうすればいいでしょうか。(楓・高校3年女子)
相手の無理解で孤独感が増す
自分の悩みを軽く受け止められたり、相談をしても相手に理解してもらえないと感じたりすると、孤独感や無力感が強くなることがあります。「心から解決できたとは思えない」というのも分かるように思います。こんなとき、どうしたらいいのでしょう。
つらいと感じる環境が変わらないとき、心の健康を保つ方法はより大切になります。今回の場合、改めて信頼できる人に話をして、心から解決できたと思えないことをまずは理解してもらうことがいいと思います。
ただ、それでも理解してもらえなかったときは、第三者に相談できる場所を探すことも一つの手段です。電話やSNS上でも相談できるので、利用しやすい手段・場所を選ぶといいと思います。

「いじる」は「いじめ」につながる
今回のお話に「陰でいじられている」とありましたが、やはり起きてほしくないことです。いじる側にとってはささいなことでも、いじられる側は「いじめられている」と感じることもあるでしょう。
いじる側にいる人たちは相手の心情を想像してほしいですし、なぜ自分がそのような行動をしているのか、気が付いてほしくもあります。自分が相手よりも優位な立場にいる気持ちだったり、自分が思うような生活を送れていない不満が、他者をいじるという行為に表れていたりするのかもしれません。いじる側の人には、自分の生活に目を向けてほしいと感じます。
嫌いなクラスにいられた理由を探ろう
今回、私が一番気になったことは、クラスメートが嫌いでなじもうと思わないクラスの中で、「何があるから、いままで学校生活を送ってこられたのか」という理由です。並々ならぬ苦労もあったと思います。そして嫌いな人たちが楽しそうにしゃべっているとしたら、その行動が余計に気になる、腹が立つことだって当然あると思います。また自分の受験勉強の進み具合が心配だとしたら、より一層、つらくなると思います。しかし、何があったから、いまのクラスにいられたのでしょう? 夢や目標でしょうか。それとも負けたくない気持ちでしょうか。
クラスにいられた理由が、あなたにとって行動の原動力になるものだと思います。それを思い出し、受験勉強に集中して取り組むための原動力にしてください。

いま恐らく大切なのは、その「何が」と、不安に思う気持ちを理解して、受験勉強に集中して取り組める方法を一緒に試行錯誤してくれる人です。学校や塾の先生に頼れる人はいませんか? そういう大人がいなかったら、ぜひ探してほしいと思います。
自分の人生が少しでも望む形になるように、自分の生活に注目して、いま自分のために何をするとよいのか、考えられるといいなと思いました。いままで頑張ってこられたからこそ、その答えも見つけ出せると思います。応援しています。
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大倉智徳さん
おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務
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