受験本番が近づいた今、模試の合格判定を見て落ち込んでいる人もいるのでは。LINE公式アカウント「高校生新聞編集部」をフォローしている高校生読者から、成績が伸び悩んでいると悩みが寄せられた。医師として脳医学の観点から受験生をケアする吉田たかよし先生に、アドバイスをもらった。(安永美穂)
お悩み:模試の結果が悪くてしんどい
模試の結果が返ってきました。手ごたえがあったのに、判定が思ったより悪かったです。直前期なのに伸び悩んでいて、果たして合格できるのか……と不安でいっぱいになってしまいました。
成績で一喜一憂、入試直前はNG
これが高3の4~6月ごろのお悩みであれば、いったん落ち込んでから勉強を頑張るモチベーションにつなげることができるので、悩む意味もあるかもしれません。
しかし、入試直前期の今は、成績について悩むことがプラスに作用することはありません。この時期に気持ちが落ち込むと、立ち直る前に入試を迎えてしまうおそれもあるため注意が必要です。
模試の成績や判定は、受験校を決めるにあたっては重要な意味を持つものです。しかし、それ以外の場面では、模試の結果を意識することのメリットはまずありません。結果が悪ければ落ち込んでしまいますし、結果が良くても、気が緩む原因となったり、後々の勉強で「あのときの模試の成績を超えられない」とプレッシャーを感じて萎縮してしまったりすることがあります。
合否を考えるとメンタル不調の原因に
人間は、自分の意思でコントロールできないことについて深く考え続けてしまうと、脳が疲弊してメンタルに不調をきたしやすくなります。大学に合格できるかどうかは、大学側が判断すること。自分がよい点を取ったとしてもライバルがさらに高い点をとっていれば不合格になることもあり、合否は自分の意思でコントロールできることではありません。入試直前期に気分の落ち込みを防ぐ上で重要なのは、自分の意思で100%コントロールできることだけを考えるようにすることです。
課題を明確にして勉強に取り組む
具体的には、「この1時間は数学の微分・積分の問題を解こう」「これからの30分で英単語を覚えよう」というように今取り組むべき課題を明確にして、それに取り組むことに集中してみましょう。
「この前の模試の結果はダメだったし……」とマイナスの意識にとらわれそうになったときは、とりあえず英文などの音読をしてみるのもよいですし、「この15分はミスをしないで問題を解くことに集中する」「この30分は問題を速く解くことに挑戦する」など、自分の意思でコントロールできる勉強の内容に意識を向け、気持ちの切り替えを図りましょう。
吉田たかよし先生
よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医師。「本郷赤門前クリニック」院長として、脳科学と学習医学を活用して受験生の心身をサポート。「受験うつ」「受験燃え尽き症候群」などの治療に取り組んでいる。「本郷赤門前クリニック(吉田たかよし院長)」HP
http://www.akamon-clinic.com/
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