人気声優の梶裕貴さんに高校生記者がインタビュー。高校生から寄せられた「成長を感じられずに行き詰まっている」という悩みに対し、自身の経験を振り返りながら、活力みなぎるメッセージを届けてくれました。(取材・荒井さちこ=高校生記者、構成・中田宗孝、写真・西村満)

違う道を選ぶのは逃げじゃない

―高校生からの質問です。「自分の思うように成長できず行き詰まっています。どう乗り越えればよいでしょうか」

その心境はとても理解できます。僕自身、大人になってからもそういう瞬間が何度もありましたし、悔しかったり苦しかったりを経験してきました。どうして行き詰まってしまうのか自分と向き合い、その壁を越えられるかを考え、リトライする。そのチャレンジ精神は、とても素晴らしいことだと思います。

梶裕貴さん(スタイリスト:SUGI(FINEST)、ヘアメーク:小田切 亜衣(emu Inc.))

僕は「別の道を探す方法もあるよ」とも伝えたいですね。一つの物事にとらわれすぎないで、自分の視野を広く持って、違うやり方を試してみる。今までと別の道、異なる方法を選択したからといって、問題から逃げた、負けたとは感じないでほしいのです。

別の経験が新たな自分の糧になり、自信も生まれます。すると、これまで自分が悩んでいたことが、意外なタイミングであっさり解決してしまったり、当時は理解できなかったことが分かったりするものなんです。

―何かに行き詰まったとき、梶さんはそう考えるようにしてきたのですね。

そうですね。悩み続けるよりも、別の課題にチャレンジするようにしています。心をリフレッシュさせるために、新たなチャレンジは常に楽しく取り組むことを心がけているんです。

他のことをすると今まで気がつかなかった発見がありますし、行き詰まりを払拭(ふっしょく)するような、ヒントや救いが見つかるきっかけになることもありました。

プライド持ち考え貫く姿に共感

―4月から放送のTVアニメ「王様ランキング 勇気の宝箱」では、主人公の異母弟で第二王子・ダイダの声を前作の物語に続き担当しています。

兄上(本作主人公のボッジ)に負けないよう、王になるために見えないところで努力をたくさんしてきているキャラクター。自分はこうあるべきだとプライドを持ち、そのためにこうしなきゃいけないと考え、貫きとおす部分にとても共感しながら演じています。自分に似たところもあるなと。

梶裕貴さん

―ダイダの好きなシーンを教えてください。

精神世界に閉じ込められたダイダが「母上!」と叫ぶシーンは、演じていて、またひとつダイダに近づけたなと思える、非常にエモーショナルな瞬間でした。このシーンのアフレコを終えたあと、僕の芝居を聴いたアニメーターの方が、このシーンの絵をあらためて描き直してくださったというエピソードをうかがい、それがとても光栄で、うれしかったですね。

かじ・ゆうき 

1985年9月3日生まれ、東京都出身。2004年に声優デビュー。主な声の出演作は、アニメ「進撃の巨人」シリーズ(エレン・イェーガー役)、「七つの大罪」(メリオダス役)、「僕のヒーローアカデミア」(轟焦凍役)ほか多数。映画・ドラマや舞台出演など多方面で活躍中。

TVアニメ「王様ランキング 勇気の宝箱」

王子のボッジ(声・日向未南)は生まれつき耳が聞こえず、言葉も話せず、剣もまともに扱えないほどの非力の持ち主だったが、初めての友だち、カゲ(声・村瀬歩)と友情を育みながら、王にふわしい人物へと成長を遂げた。本作では、異母弟のダイダ(声・梶裕貴)はじめ、ボッジを取り巻く人々たちのエピソードも語られていく。フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて毎週木曜24:55~放送中

(C)十日草輔・KADOKAWA刊/アニメ「王様ランキング 勇気の宝箱」製作委員会