全員が第一志望の高校に合格し、通えるわけではありません。第一志望に不合格となり、別の高校に通っている3人の高校生記者に集まってもらい、語り合ってもらいました。(司会·構成 吉田るな)

大学受験への意識が高まった

前回は、第一志望不合格が分かり、そのつらさを乗り越えるまでの葛藤を話し合いました。第一志望不合格の経験をして、今どんなことを思いますか?

Cさん(3年女子) 「大学受験を頑張ろう」と思えるようになりました。不合格という過去でなく、「これから」の自分に目を向けられるような言葉をかけてくださった方たちのおかげだと思います。

周囲の人がかけてくれた言葉のおかげで、前を向けるように(写真はイメージ)

Bさん(3年女子) 私も同じです。確かに第一志望に落ちると次のチャンスである大学受験への思いが強くなる気がします。ただ私もそうですけど、自分に自信をなくしてしまう人が多いのも事実だと思います。

C たしかに、そうかもしれないですね。「自分を信じて挑んで、また失敗してしまったら……」という恐怖はあるような気がします。でも、こういう経験をしても立ち直って高校生活を送れている時点で「自分は頑張れる」という自信はあります。

B そうですね。つらかったけれど、もし受かっていたらできてないこともたくさんありますしね!

第一志望に落ちてよかったかも…!

―過去の自分でなく、未来の自分を見つめる強さを持つ姿が輝いて見えます。

Aさん(2年男子) 私の学校は(第一志望でない)私立だからこそ独自のカリキュラムがあって、「ここに通っていなかったら学べていなかったな」と思うことが多々あります。なので、ある意味第一志望に落ちていてよかったのかもと思うことも(笑)。みなさん、受かっていたらできていないことにはどんなことがありますか?

B 私は部活ですね。陸上部で中学からやっていた長距離を続けようと考えていたのですが、今の高校では長距離ができなかったので、新しく短距離を始めました。他にも、受かっていたらおそらく高校生記者の活動みたいに自分から挑戦することもなかったと思います。

第1志望に落ちたからこそ挑戦できたことは?(写真はイメージ)

C 自分もそう思います。今の高校で出会った友達がいろいろなことに挑戦しているのを見て、「私も何かやりたい!」と思って始めたのが高校生記者でした。

A 偶然です。私も「受かっていた世界線の自分より高校生活楽しむぞ!」と意気込んで始めた活動の一つは高校生記者です。

B 「受かった高校に行っている人たちよりも高校生活を充実させてやる!」って思ったところから「やってみよう精神」みたいなものが大きくなりましたね。

A 落ちたことで好奇心が強くなった気がしますし、趣味も増えました。高校に入って新たにできた趣味はラジオ鑑賞、三線、韓国語の勉強、ダンスなどです。

B 本当に幅広く興味を持ったんですね。私も落ちたことで、自分を見つめ直すきっかけになったかもしれません。既につらい思いから立ち直る経験をしているので、「この先なにかあってもなんとかなる!」と思えています。

C きっとこれからの人生にも、この経験は生かせるんじゃないかなと思います。

―高校受験での失敗という深く傷ついた経験を持つからこそ、そこから立ち直って頑張るパワーは人一倍大きいのですね。

第一志望への思い、いつ断ち切れる?

―Aさんはたまに「もし第一志望の学校に行っていたらどうだったのだろう」と思ってしまうことがあるそうですね。

A 毎朝志望していた学校がある駅を経由して学校へ通うので、嫌でも志望校のことは毎日思い出してしまいます。初めの頃は、その駅で毎日のように受かっていた自分を想像しては落ち込んでいて……。でも、徐々に落ち込むのにも慣れてきているところです。2年生になったら考えてしまうこともなくなるものですかね?

B 1年生の頃は毎日のように思っていましたが、今は充実しすぎて、受かっていた世界線の自分が想像できないです。

今の高校生活が充実している(写真はイメージ)

C 考えてしまうことがあっても、それほどネガティブに捉えなくなったと思います。もし第一志望の学校に行っていたとしても、何かがきっかけで「別の学校に行っていればよかった」となることがあるかもしれないので、関係ないのかなと思うようになりました。

B 入学したときは第一志望の高校の良い面、今の高校の悪い面ばかり見ていたんですけど、2年になったら今の高校の良いところがたくさん見えてくると思います! この高校に入学したからこそできることを見つけてやってみるのが良いのかもしれないです。

A なるほど。今の高校での生活が十分充実しているので、志望校のことをそこで思い出してもなんとも思わなくなってきました。今の高校が最高だと思える日が楽しみです!

―自分の人生の大事なピースだからこそ、思い出すこと自体は悪いことではないのかもしれません。やはり、今の自分の現状に十分満足できているかが大事なのかもしれませんね。

不合格のメリットはたくさんある

―最後に、同じような状況にいる新入生へ、メッセージをお願いします。

C 今の自分の高校にも必ず魅力があります。その高校に行ってよかったと思えるかどうかは自分次第だと思うので、自分から積極的に行動して悔いのない高校生活を送ってください!

B 必ずその高校でしかできないことがあるし、自分が変われるきっかけにもなります。今はしんどいと思いますが、高校生活を充実させるかは自分次第。今いる環境を大切にして、自分がやりたいことにどんどんチャレンジしていってほしいです!

A 落ちたメリットは意外とたくさんあります。「落ちたから終わり」ではなくて、その学校で何をするか、それが一番大切だと実際に不合格を経験して感じます。いつか必ず「あの日落ちてよかったのかも?」と思える日が来るので、精いっぱい高校生活を楽しんでください!

―大変な経験を乗り越え、それをパワーに歩みを進める3人の高校生の熱い思い。今ある場所で花を咲かせられているのは、きっと頑張ってきた経験が支えとなっているからなのでしょう。