全員が第一志望の高校に合格できるわけではありません。今回は「第一志望ではない高校」に通っている3人の高校生記者に集まってもらい、合格発表当時から今に至るまでを語り合ってもらいました。(司会·構成 吉田るな)
「行きたかった…」落ち込む気持ちを抱え
―第一志望不合格が分かってから入学直後はどのような思いでしたか?
Aさん(2年男子) 最初は「第一志望に行きたかった」という気持ちが大きかったので、毎日自分の学校へ行くのがつらくて、大変でした。

Bさん(3年女子) 入学式の頃は「本当はここにいるはずじゃなかった」って何度も思いました。私が通っている高校は併願として受ける人が多いので、制服を着ていると「(Bさんは)落ちた」と周りに思われてしまうことが嫌で、制服を着るのをためらっていたほどです。
Cさん(3年女子) 私の場合は2人と少し違って、第一志望を諦め受験自体しなかったんです。私は第一·第二志望が両方とも公立。公立は1校しか受験できないルールなので、校風が気に入っていた第一志望を受けるか、家からの距離が近く、学力的にも余裕を持って受かる第二志望を受けるか悩み、確実に受かる第二志望を受験しました。なので、そもそも第一志望に挑戦すらできなかったことに最初は落ち込みました。
明るく「落ちた!」不合格伝える葛藤
―「どの高校に通うか」を周りの人に伝える場面はいやが応でも出てくると思います。
B 一番つらかったのは中学の友達に「落ちた」と伝えることでした。
C 第一志望を諦め結局受験をした第二志望の高校に進学することを伝えなければいけなかったのは少しつらかったです。自分は挑戦すらできなかった、という事実を目の前に突きつけられる感じがして……。
A 私は自分から伝えられませんでした。ですが、通っていた塾の校長が受験生全員の前で「Aさんは落ちた。けど頑張った!」と言ってくださいました。そのときは泣くのを我慢するのに必死でした。

B 自分から言うのってやっぱり勇気がいりますよね。
C 伝えた相手にも気を遣わせてしまうのでは……と心配していました。
B 私は友達に「でも頑張ったから」とか言われると泣いてしまいそうだったので、できるだけ明るく「落ちた!(笑)」って言うようにしていました。でも、第一志望に受かった子に自分の結果を言うときは本当につらかったです。
同じ境遇の友達に救われた
―思い入れが強い第一志望だからこそ、落ち込む気持ちはあるものですよね。
A はい。やっぱり最初は、第一志望校に受かった子と自分を比べてはよく落ち込んでいました。
C わかります。最初の頃は劣等感が強かったです。
B 私も「自分はあの子より頑張っていたはずなのに、なんで」と思ってしまっていました。でも高校に入ってから、似たような境遇の子がいるとすごく救われませんか?
C 私も同じ学校を第一志望にしていた子に出会って、お互いの気持ちを昇華し合えました!
A お互いに自分の気持ちを言い合って気持ちが軽くなりました。相手も落ちているから自分も恥ずかしがらず安心してとても楽に話せました。

―同じ境遇の友達の存在に救われる思いがしたのですね。
C 私は「第一志望の高校には行けなかったけど、お互いにこの学校を選んだからここで出会えたよね」という感じの話をしましたが、Aさんはどんな話をしましたか?
A まず、どこを受けたのか教え合ってひとしきり話してから、「大学は絶対に第一志望のところに行こう!」と笑いながら励まし合いました。「みんな自分と同じくらいつらい思いをしてきたんだ」とそれまで抱えていた孤独感が一気に消えたのを覚えています。
B 「一緒に頑張ろう」ってお互い思えますよね。
C 同じ立場の人と話すと、自分の気持ちも整理できますしね!
B そうですね。私は入学して隣の席だった子が同じ高校受けていて、そこからずっと今もテストや模試の成績はお互いに共有して高め合っています。本当になんでも話せる友達です!
―同じような経験をしてきた人と話すことで、自分の気持ちに整理がつけやすい、ということですね。仲が良くなると、お互いが成長していくきっかけにもなりそうです。
周囲の人に励まされた
―「こんな風に接してもらったのはうれしかった」という周りの人の言動はありましたか?
B 私は兄に「高校なんかどこ行っても変わらないし、そこでどう頑張るかだよ」って言ってもらえたのが救いでした。高2になって本当にそうだったと気付かされています。
C 中学からの友達は、私が第一志望に行けなかったことに妙に気を遣ったりせず、変わらずに接してくれたのがうれしかったです。
A 私は高校の先生の「まだまだここからだよ」という言葉が、もう一度前を向くきっかけになりました。当時、自分で自分を責めていた分、周りの人からの優しい言葉の一つ一つが深く刺さりました。
C そうですね、自分だけだとどうしてもネガティブな方向に考えてしまいがちなので、周りの人のあたたかい言葉がうれしかったです。
B 私もやっぱり「ここからだよ」みたいなポジティブな言葉や声掛けがすごくうれしかったですね。