【高校生の部 最優秀賞・JICA理事長賞】ンバ真陽佳(同志社国際高等学校2年)「今できる国際交流―真の相互理解を目指して―」

「相互理解」私が今最も重要と考える言葉です。私は幼少期の10年間をアフリカで過ごしました。 そんな私が両国でいつも受ける質問です。

「アフリカで服着てるの?手で食べるの?」

「日本って侍が歩いてるの?」

どちらも正しくありません。これまでに何十回何百回と説明をしてきました。そんな事も知らないほ ど両国の人にとって関係が乏しい国同士なのです。戦争、人種差別など今世界中で起きている様々な 問題は、相互理解を深め、一緒に考える事で解決に近づくと考えます。相互理解を深めるには、イン ターネットの情報を見るだけでなく、一対一の人として実際関わり合って関係を築いて行く必要があ ると感じていました。

そんなとき、国連が提唱するSDGs を知りました。「誰一人取り残さない」を原則として環境汚染や 貧困など世界中で起きているあらゆる問題を解決するための目標です。2030 年までにこれを達成する には地球上に住むすべての人々が協力して行く必要があります。私は、このSDGs を通して赤道ギニア 共和国と日本の相互理解を深められないかと考えました。

まず、日本にいた姉や赤道ギニアの友人と協力し、青年団を立ち上げました。現地で選出した4人 にオンラインで勉強会を実施し、リーダーを養成しました。一緒に学校を訪問しSDGs についてのワー クショップを開きました。その後4つの学校の代表から集まるグループと日本の高校生が参加する意 見交換会を実施しました。

例えばSDGs 目標14「海の資源を守る」の意見交換会の様子を紹介します。この回はウミガメの保護 とプラスティックゴミでの海洋汚染にスポットを当てました。赤道ギニアではウミガメが食用として 売られています。しかし食べている人たちは絶滅寸前の貴重な生き物であることを知らずにいます。 ワークショップ後、赤道ギニアの学生は、「私は今後家では食べない。そして大きくなったときに自 分の子供にも食べさせない」 と語りました。小さな一歩ですが将来の大きな変化に繋がります。それと同時に、日本でのタグやGPS で管理するウミガメの保護活動や、徹底した分別処理に感嘆の声が上がりました。

一方、日本の学生には、赤道ギニアの学生からアフリカでのプラスチック袋規制の話がありました。 アフリカ大陸54 カ国中過半数の30 カ国もの国が、プラスチック袋の規制を導入、うち24 カ国は国内 全域で禁止し、罰金を課す国もあります。ゴミに溢れたアフリカのスラム街の映像ばかりを目にして いた日本の学生は、この取組にとても驚いていました。

SDGs の各目標についてワークショップを開き意見交換会をすることは多くのメリットがあります。 相手国に紹介するため、準備段階でまず自国の様々な分野の問題を掘り下げる事で多くの発見ができ 自国の現状への理解が深まります。その後意見交換することにより他国の本当の状況を知ることで相 互理解を深めます。それにより自国の目標達成に向けた取組に新たなアイデアを取り入れる事ができ ます。

今後の私の目標は、この運動をもっと多くの国にも広げ、つなげていく事です。この夏は、SDGs に 関する事業に参加し、インドネシアのジャカルタを訪問しました。現地の高校生とワークショップに 参加し意見交換をしました。この経験を踏まえ、秋には日本、赤道ギニア、インドネシアの学生が参 加するZOOM でのSDGs に関する意見交換会を計画しています。

2030 年、このような国際交流の経験をし相互理解を深めた学生が成長し、手を取り合って「誰ひとり取り残さない」持続可能なより良い社会を実現していると信じます。