みなさんは調べものをするときはスマホ派ですか? それとも辞書を使っていますか? 富樫永理奈さん(山形・鶴岡南高校2年)は、国語辞典の代名詞といえる「広辞苑」にまつわる新書を読み、「第66回青少年読書感想文全国コンクール」(全国学校図書館協議会、毎日新聞社主催)で文部科学大臣賞を受賞しました。(中田宗孝、写真は本人提供)
曽祖父の愛読書が広辞苑
―広辞苑に興味を持つきっかけは?
亡くなった曽祖父は熱心な読書家だったと聞いています。愛読書の一冊が「広辞苑」だと母から聞いていました。家にいるときはいつもずっしり重たい広辞苑を膝の上にのせて読んでいたそうです。
曽祖父が好きだったという、広辞苑の魅力は何だったんだろう。そう興味がわいて、昨年の高校1年生の夏休みに、辞書の読み方をさまざまな視点から紹介する「『広辞苑』をよむ」(岩波書店、今野真二著)を手に取りました。
書籍の重さは歴史と努力の重さ
―広辞苑の魅力は何だと感じましたか?
読んだ後、広辞苑のような辞典(辞書)に抱いていたイメージが大きく変わりました。それまでは広辞苑を、言葉の意味を調べるだけの無機質なモノだと思ってたのですが、広辞苑を作った方々の「気配」を感じるようになったんです。
―感想文の中で「『広辞苑』の重さは歴史と努力の重さ」とつづっていますね。
あらためて広辞苑の巻末に注目すると、広辞苑づくりに携わった人たちの名前がたくさん記されていたんです。しかも数ページに渡って、です。
たった一つの単語の意味を記すために、本当に多くの方々がかかわっている。広辞苑の歴史の重み、ページからは作り手たちのエネルギーを感じました。
―新型コロナウイルスにも触れていますね。
文章の中に「コロナ禍の今」を書いておきたかったんです。今だからこそ書かなくてはとも思いました。
書くときは、背伸びして難しい表現を使わないことを意識しました。私の文章を読んでくださる方が読みやすいように、自分の思いが相手に伝わりやすいように。