明和高校(愛知)SSH部生物班は、昨年11月に行われた第56回全国野生生物保護活動発表大会(環境省、公益財団法人日本鳥類保護連盟主催)で、名古屋城周辺に生息するタヌキの生態に関する研究を発表し、文部科学大臣賞を受賞した。なぜ、研究して何が分かったのか。代表して、木村桃子さん(3年)に話を聞いた。(写真・学校提供)

フンと動画を解析しタヌキの生態を調査

―名古屋城周辺に生息するタヌキの生態を研究しているとお聞きしました。研究のきっかけは?

私たちの高校がある名古屋城周辺は、県庁や市役所が立ち並ぶ都市ですが、雑木林などの自然も豊かな地域です。その地域でタヌキの目撃情報があったので、タヌキを中心に、この特徴的な土地独自の生態系を調査しようと思いました。

明和高校SSH部生物班のメンバー

―研究はどのように進め、何が分かりましたか?

フン解析と動画解析の2種類の調査を行っています。フンの解析からは、タヌキは街路樹の「センダン」の実や木の皮を食べていることや、プラスチックを食べてしまっていること、季節ごとに内容物が変化することが分かりました。

明和高校SSH部生物班が撮影したタヌキ

動画の解析からは、タヌキは日の出・日の入りの時間に出没回数が多く、決まった道を多く歩く習性があると発見しました。

日々増えるデータの解析に奮闘

―研究を進める中で苦労したことは?

動画の解析では、毎日データが増えていくので、処理を進めるのが大変でした。情報の先生に相談し、処理方法を適宜改善していきました。

フン解析・動画解析で、それぞれどの種類のデータが必要か考え、取捨選択することが難しかったです。データを選ぶ際は班員でよく話し合い、時に先生の助言もいただきながら進めました。

フィールドワークでタヌキのフンをサンプリング

小学校で地域の生態系伝えたい

―研究を通して身に付いたことや、普段の生活で役に立っていることはありますか?

データの取捨選択をする力が身につきました。さらに、身近に住んでいる動物について知ることで、普段目にする景色は「人だけ」でできていないことを実感。自然とともに生きているという意識が高まりました。

―今後は研究をどのように進めていきたいですか?

さらにデータを集めてより詳しい解析をしていき、できることならタヌキそれぞれの個体も識別したいと考えています。小学校訪問などをして情報を発信し、地域全体でこの地域の生態系について理解を深めていけるようにしていきたいです。