人気女優の浜辺美波さんが、高校生から寄せられた友人関係や進路選択などの悩みに回答してくれました。浜辺さん自身の学校生活や、エピソードも聞きました。(取材・文・中田宗孝、写真・渡辺秀之)
タイミングを逃さないで
―高校生からの質問です。「私は周りの目ばかりを気にして、学校などでやりたいことを選択する場面があったとしても、『自分がやりたい』よりも『友だちと一緒』のほうを選んでしまう性格に悩んでいます……」
学校生活では私も「友だちと一緒派」だったんです。友だちと一緒に行動したり、同じものを選んだり。私の場合は、「そのほうが絶対に楽しいだろうな」と感じることが多かったですし、実際楽しかったんです。もし本当にやりたいことがあるのなら、「自分一人で」とかではなく、友だちを巻き込んじゃうのはどうでしょう。
―次に進路相談です。「夢や目標が明確にある人がまわりに多いです。でも私は、将来の夢や大学で何を学ぶか決められていないので、内心とても焦っています。アドバイスがほしいです」
私自身は10歳から芸能活動を始めて、そのころにやりたかったことを高校生のときも、社会人になってからも続けています。なので、高校時代に将来の進路を決めた経験がありません。
ただ何か決断の岐路に立ったときに感じるのは、「これまでの自分が深く関わってきたこと」「好きで頑張って続けてきたもの」が、自分の“隣”や“目の前”、もしかしたら、“後ろ”を振り返ったときにきっとあるんじゃないかな。それを見つけたとき、出会ったとき、タイミングを逃さなければ良いのかなと思います。
進む道は「自分の直感」信じて
―進む道を見つけるタイミングや出会いを逃さないためにはどうすれば良いでしょうか。
自分の直感を信じる。私はそうでした。高校生のころの私は怖いもの知らずで、今思えば無敵モードだったなと(苦笑)。「頑張っていけば大丈夫じゃないか」「何でもできるんじゃないか」と自分自身を信じていました。
自分を信じてあげることって大切な気がしています。そう強く思って毎日を過ごしていると、あるとき風が吹いてきたり、波がきたりするタイミングがおとずれるはず。その流れに乗るための、ちょっとした“足の軽さ”を心に持ち合わせておくことも必要かも知れません。
忙しくても気を張り過ぎない
―出演する連続テレビ小説「らんまん」は、「日本の植物学の父」といわれる植物学者の牧野富太郎の妻・寿恵子役を演じます。参考にした牧野夫婦のエピソードはありますか。
「高知県立牧野植物園」を見学したことは、役づくりに生きています。同園には、植物のほかにも牧野さんが妻に宛てた文(手紙)や、何十回も引っ越しした記録といった私生活を知る資料も展示されていたのでとても参考になりました。(植物学者の)牧野さんは自ら発見した新種のササ(スエコザサ)に妻の名前を付けたという実話もありました。
同園の職員の方によると、牧野さんが妻に宛てた手紙の文字は、植物図鑑に記した文字と比べると“まるみ”が違うそうなんです。手紙では妻を“スエちゃん”と呼んでいて。そんなところにも、牧野夫妻の愛情深い関係性を身にしみて感じられて。生涯を通じて夫婦仲良く過ごされていたと知れて、すごくうれしかったです。これから演じるのがとても楽しみになりました。
―「らんまん」の撮影中にも別のお仕事があると思いますが、どう気持ちを切り替えていますか。
気持ちを切り替えるというよりは、あまり気を張りすぎないという感覚で過ごしています。お芝居と並行して取り組むお仕事は、インタビュー取材やテレビ出演などが多いのですが、その際は、ほどよい緊張感を保ちつつも、いい意味でのリフレッシュ、その現場を目いっぱい楽しんで過ごすようにしています。
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はまべ・みなみ
2000年8月29日生まれ。石川県出身。2011年に女優デビュー。主な出演作は、映画「君の膵臓をたべたい」「賭ケグルイ」シリーズ、ドラマ「ドクターホワイト」など。最新出演作は、3月より公開中の映画「シン・仮面ライダー」
連続テレビ小説「らんまん」
江戸時代末期の1862年、高知で生まれた万太郎(神木隆之介)は、草花に夢中になり、独学で植物に関する知識を学ぶ少年時代を過ごした。やがて上京した彼は、東京大学の植物学教室で助手として働きながら植物の研究に没頭していく。そして、のちに妻となる寿恵子(浜辺美波)と運命的な出会いを果たし……。
4月3日(月)より、NHK総合、毎週月~土曜午前8時~8時15分(土曜は1週間の振り返り。NHKBSプレミアム、BS4Kでは毎週月~金曜午前7時30分~7時45分)などで放送予定。