マスク越しに会話を交わすと、「互いの声が聞き取りにくい」と感じることはないだろうか。下関西高校(山口)科学部の部員5人は、マスクをしている時に音量が減少するのか、マスクの素材で違いがあるのか実験した。(文・写真 中田宗孝)
マスクの種類で声が聞き取りづらくなる?
「不織布マスクやフェイスガードを着用すると、声の音量が減少する」と、電気音響系企業「ユニバーサル・サウンドデザイン」が研究で明らかにした。この結果を踏まえ、部員は他の素材のマスクでは声の大きさや聞こえ方に差がでるのかを検証した。

実験は、集音装置を使い、ガーゼ、ウレタン、ポリエステル、ナイロン、不織布といった8種類のマスクで検証。プラスチック製のカップの中に小型スピーカーをはめ込み、カップを覆うようにマスクを装着。「マスクで覆ったスピーカーから事前録音した人の声を出す」「マスク無しで人の声を出す」それぞれ音を測定した。
マスクが発音に影響?
結果の数値をみると、どのマスクも音量が減少した。だが、ウレタンマスクは音量の減少の幅が小さかった。「(音量減少の差は)マスクの素材の違いだと思います。不織布マスクは繊維のつまった層構造になっていて音量が減少しやすいですが、ウレタンマスクは他のマスクに比べて素材の穴の面積が大きいんです」(竹内晴大さん・3年)

口とマスクの間にできる、わずかな隙間の大きさによっても、音量が増減する場合があることをつきとめた。

「マスクをすると声の大きさが変わるというより、“発音”が聞こえにくく、聞き取りづらくなる。つまり、人の発声に影響が出ると考えられます」(常岡慶太郎さん・3年)
昨年8月、文化部の全国大会「第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)」の自然科学部門に出場。研究成果を発表した。