ツイッターを買収したイーロン・マスク氏が、社員の解雇、有料化の検討など収益化を目指し改革に乗り出している。ツイッターは、10代の約7割が利用しているSNSで、高校生にとっても身近な存在だ。高校生たちは、変わろうとしているツイッターに何を望んでいるのだろうか。高校生新聞編集部に寄せられた高校生たちの声を紹介する。(野村麻里子)

未成年を守るセキュリティー対策を

「エロ垢からのDM(ダイレクトメール)が来ないようにしてほしい。普通に迷惑」。Rさん(高校2年)は、アダルト系のアカウント通称「エロ垢」から迷惑メールが届くのが煩わしいという。

編集部あてに届いた迷惑DM

「公開垢(鍵をかけないアカウント)で女ってバレるだけで来ます」。現在も不適切なメッセージをフィルタリングする機能があるが、万全ではないようだ。DMのほか、勝手にリストに入れられるスパム行為をする悪質なアカウントも問題になっている。

誹謗(ひぼう)中傷防ぐ「警告」出して

誹謗(ひぼう)中傷への対策強化を望む声も。「手軽に短い文章を発信できることはTwitterの良いところですが、例えばツイートをする前に『読み直しましたか?』などと、ワンクッション置く機能があると、感情に任せた誹謗(ひぼう)中傷を減らすと共に、発信者が冷静になれる瞬間を作ることができると思います」(Sさん、高校2年)

個人攻撃を目的にするアカウントなど悪質なケースは、ツイッターに通報しアカウント凍結を求めることもできるが、必ず対応される保証はない。つぶやく時点での警告は、記事URLを読まないでリツイートしようとすると「まず記事を読んでみませんか?」と表示されるのみだ。インスタグラムの場合、不快感を与える可能性のあるコメントには警告表示がされるがツイッターにはない。

開いていない記事URLが載っているツイートをリツイートする前は警告表示が出る

 不適切な内容を含むツイートは、下記のような警告表示が出ることがあるが、ツイートを見る側への注意喚起となる。

・不適切な内容が含まれている可能性のあるツイートです
・このツイートは、不適切な内容が含まれている可能性があるため表示できません
・この画像/動画は不適切な内容を含んでいる可能性があります
・注意:プロフィールに不適切な内容が含まれている可能性のあるアカウントです

誤字を直せるようにしたい

「一つのメールアドレスで複数のアカウントが作れるようにしてほしい。裏垢が作りにくいので(Kさん、高校1年)」「誤字があった時に、ツイートを消すのではなくインスタみたいにその場で編集できるようにしてほしい(Yさん、高校3年)」など、仕様自体への要望も上がった。ツイート編集は22年9月、機能実装に向けて準備を進めている発表がTwitterJapanブログで発表されているが、現状日本ではその後の動きはない。

話題のトピックを紹介する「トレンド」欄。「ジャンルごとに分けてほしい。トレンドを見た時に、知りたいジャンルのトレンドが一目でわからず、偏った政治思想のタグが上位に出てきている現状はうっとうしさがあったから」(Oさん、高校3年)と、情報へのアクセスのしやすさを求める声もあった。

ツイッターは社会勉強の場

ツイッターの有料化も取り沙汰されているが、「現実世界での愚痴を吐く場所がなくなって普通につらい」(Yさん、高校3年生)、「高校生にとっては貴重な社会勉強ができる環境だから引き続き無料で使えるようにしてほしい」(Sさん、高校2年)と切実な反対の声が上がった。自由に使えるお金が少ない高校世代にとって、無料で使えるか否かは重大なポイントだ。

複数アカウントを匿名で使える状況は「リア友に伝えたくない趣味の友人の交流ができたり、リアルでの悩みを相談できる」(Oさん、高校3年)から維持してほしいという指摘があった。高校生新聞の今年9月の調査によると、中高生世代のツイッターの用途は「推し活」「趣味」が多い。ツイッターと異なり実名登録制を採るフェイスブックは、利用規定として一人1アカウントでの利用となる。用途によってアカウント分けができるのがツイッターの利便性であり、損なわれると困る人も多いようだ。