ペットボトル飲料水を1日数回に分けて口をつけて飲む人が多いのは、衛生的に問題ないだろうか。佐野東高校(栃木)理科研究部は、そんな疑問をもとに研究し、文化部の全国大会である第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)の自然科学部門で成果を発表した。(文・写真 中田宗孝)

開栓したペットボトルって安全…?

同部は、開栓後のペットボトル飲料水の中に含まれる菌の数を調べ、安全性を確かめる研究に取り組んだ。

会場では研究内容のプレゼンを行い、審査員や他校の生徒からの質疑に応じた

実験では、水、麦茶、日本茶、スポーツドリンクの4種のペットボトル飲料水(300ml)を用意。それらを27度の常温で保管しつつ、8時間かけ6回にわけて口をつけて飲んだ。口をつけずに6回に分けて同じ量を捨てたペットボトルを用意し、各回のペットボトルに残された飲料の菌の量を4時間後と8時間後に比較した。

スポーツドリンクの菌が少ない結果に

実験の結果、直飲みをしていないペットボトルからは菌は時間が経過しても検出されず、ペットボトルから直飲みしたほうは、口飲み回数が多いほど、検出される菌が増加した。検出菌数の高い順に水、麦茶、日本茶となり、スポーツドリンクのみ菌が検出されなかった。

 「清涼飲料水中の生菌数調査-ペットボトル飲料水を安心して飲むには-」

「スポーツドリンクの菌が少ないのは、pH(=水素イオン濃度指数。酸性、アルカリ性の強さを表す数値)の影響が考えられます」(川島悠雅さん・3年)。一方、冷蔵庫で低温保管しながら同様の実験を行ったところ、常温よりも菌の検出が少なくなった。

研究の中心メンバーの富田さん(右)と川島さん

コップを使うと安全性がUP

ペットボトル飲料水をコップに移して飲んだ場合、ペットボトルから菌は検出されなかった。この結果を踏まえて、コップを使用すれば、口内の細菌がペットボトル内に移るのを防ぐ効果があると考察した。

研究メンバーの富田陽太さん(3年)は、「開栓後は早めに飲みきる、低温で保存する、直飲みせずにコップに移して飲む。主にこれらがペットボトル飲料水を安心して飲める有効な飲み方です」と結論づけた。