第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)の写真部門で、田村南海さん(群馬・高崎北高校3年)撮影の「マスクの中の表情は」が最優秀賞・文部科学大臣賞に選ばれた。(中田宗孝)
偶然描いた「ニコちゃんマーク」をパシャリ
最優秀賞・文部科学大臣賞は、全307点の中から審査により、1作品に与えられる。「日本一」となった田村南海さん(3年)の作品は、写真部員をモデルに校内で撮影された一枚だ。教室の窓に霧吹きを使って「雨模様」を表現。演劇部に借りた舞台用照明をモデルの顔にあてて、幻想的な雰囲気を巧みに演出した。
「作品テーマは決めず、変わったシチュエーションでいい感じの写真を撮ろうとだけ考えていました。モデルの部員が窓の水滴を使って偶然『ニコちゃんマーク』を描いた、その瞬間を収めたんです」
マスクの下では笑っててほしい
撮影後しばらくして、この写真を見返し、コロナ禍で高校生活を過ごす自身の気持ちを込めた「マスクの中の表情は」という題名が思い浮かんだ。
「高校入学からずっとマスクをしたままで、友だちがどんな表情をしているのか分かりません。それでもマスクの下では楽しく、笑ってくれてるといいなって。写真作品は、構図やアイデアと同じくらい、タイトルも大事」
2年越しの想いかなえ東京へ
各都道府県から代表選出された写真作品は東京都美術館に展示された。実は、田村さんが1年生のときの写真大会でも同美術館への展示が決まっていたが、コロナ禍により審査のみで作品展示は中止に追い込まれた。
自分の作品が飾られている会場を見学し、「2年越しに思いをかなえて、大きな賞を受賞できてうれしいです。コロナ禍での学校生活は悔しさもあったけど、写真部で青春できたなって思います」