「バチーン」と音が聞こえてきそう……吉田桧(ひのき)さん(東京・明治学院高校2年)の写真作品「青春の裏側」は、女子が男子にビンタをする瞬間をとらえ、文化部の全国大会「第49回全国高校総合文化祭(かがわ総文祭2025)」の写真部門に出品されました。
「高校生にしかできない」作品目指し
―作品のテーマを教えてください。
作品を撮る時、「17歳の今この瞬間を切り取る」ことや、「高校生の自分にしか撮れない場面を写し取る」ことを意識し、追求しています。
そうした中で、自分たちの「青春」「恋愛」「高校生活」を少しコミカルに、ドラマティカルに表現してみたいと思い、自分の中に湧いたイメージを部活の仲間や先輩の協力を得て一つの作品に仕上げました。
頭の中に浮かんだイメージを一枚の写真で再現できたこの作品は、自分でもお気に入りだったので、かがわ総文祭に選出していただいて本当にうれしかったです。
「のぞきこむような角度」で撮影
―こだわったり工夫したりしたポイントは?
全体の構図と被写体の輪郭です。「まさにその瞬間を目撃してしまった人」の視点を出すために、あえて階段上からのぞき込むような角度で撮影しています。窓からの自然光がスポットライト的な効果を果たすように被写体の2人を配置して、陰影を出し、よりドラマ性を演出しました。
バスケとの両立に苦労
―難しかった点、苦労した点は?
自分はバスケのクラブチームに所属していて、週5日練習を頑張っています。写真部の活動がある日は17時に部活を早退し、18時からバスケをして23時近くに帰宅し、週末はバスケの試合に出る……という生活を送っています。
いわゆる「二刀流」の生活は時間的には大変ですし、もっと部活の仲間と一緒に過ごしたいなと思う時もありますが、休みの日には部活の仲間と撮影会に出掛けたりして、充実した高校生活を送っています。
友人と先輩に「迫真の演技」をお願い
―制作中、印象に残っているエピソードあれば教えてください。
写真の中ではたかれているのは、仲の良い友人。ビンタしているのは、写真部の一つ上の先輩です。イメージが湧いた時に、ちょうどそこにいたのでお願いしたのですが、こちらの期待以上に迫真の演技をしてくれて、躍動感のある作品となりました。名演技をしてくれた2人と、指示だしで協力してくれた友人に感謝しています。
入部3カ月後の夏合宿で訪れた千葉の廃校で撮影したのですが、合宿を通して部活の仲間や先輩たちとの仲も深まりました。その結果として生み出せた作品なので、臨場感のあるシリアスなトーンでありながら、どこかポップで楽しい写真となりました。
街中に足を運んでみて
―よい作品を作るためのコツ、上達のためにおすすめの練習方法はありますか?
今回の作品は廃校で撮ったので、壁の汚れ具合や薄暗い雰囲気がかなりいい感じで、「心の裏側」や「心の闇」を表現できました。イメージを膨らませたり、味わいや深みのある写真を撮ったりするには、かなり工夫が必要です。
街中に足を運び、古い路地裏や情報量の多い場所を背景に被写体を据えて撮影すると、味わいやストーリー性のある作品となり、たくさんのイメージが湧いてきます。


















