白又来未(くるみ)さん(富山・富山高校3年)の写真作品「微睡む蕾(まどろむつぼみ)」を紹介します。チューリップと人間の目を柔らかくとらえて並べたこの写真は、2025年7月に開催された全国高校総合文化祭(かがわ総文祭2025)写真部門で最優秀賞の一つ・文化庁長官賞を受賞しました。撮影した白又さんに、作品に込めた思いを聞きました。(文・写真 椎木里咲)

友達の目がチューリップのつぼみみたい
─とてもかわいらしい作品ですね。どんな思いを込めて撮りましたか?
人の目を撮るのが好きなんです。「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるくらい、目からはその人の感情や思いが分かります。
この目はとても仲のいい、写真部の友達の目です。つむった様子が富山の県花・チューリップのつぼみのように見えて、この組写真を思いつきました。
パステルカラーで淡い雰囲気に
─こだわったり、工夫したりしたポイントは?
2枚の写真を同じ色味にそろえたところです。作品名に「微睡み」とあるように、夢か現実かわからないという雰囲気を出したくて、レタッチでパステルカラーの淡い色合いにそろえました。2枚とも前に暖色、後ろに寒色を置いています。

組み合わせ方に悩んだ
─難しかったところはどこですか?
組写真は1枚だけの写真より「物語性」が生まれます。その分、組み合わせ方で世界観が変わります。
最初に目の写真を選んだのですが、どんな写真を組み合わせようか悩みました。自然を撮った写真が合うかな、と思って過去に撮影した花の写真を探したところ、ちょうど合うものがあってよかったです。
芝生に寝転んだ友達の目がきれいで
─撮影時、印象に残っているエピソードはありますか?
目の写真は、たまたま撮れた写真なんです。その子を含めて何人かで外に遊びに行った時、風がすごく気持ちよくて、みんなで芝生に寝転んでいました。
ふと隣に寝転んでいた友達を見ると、目がとってもきれいだったんです。「目、閉じてみて」と言って撮らせてもらいました。
被写体をよく観察して
─よい作品を作るためのコツを教えてください。
撮る前に被写体をよく観察します。私は「量より質」派で、被写体を見たらどう切り取るか、頭の中ですごく考えます。「こう撮ったら面白いかも!」という感覚を得られたらシャッターを切っています。