高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。
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【お悩み】難関大に行きたいけれど成績が悪い私、何からすればいい?
私はいわゆる「難関大」を目指しています。いま高校2年生。受験まであと1年しかないにもかかわらず、成績はとても悪いです。この大学に絶対に行きたいと思っているのに、私の周りの人たちは全員が反対。自分でも受かるはずがないと思っています。勉強も好きになれないし、モチベーションも保てません……。
今の私がまずやるべきことは何だと思いますか?(高校2年・P.N.スピカ)
質問の中で、「難関大学に行きたい→成績はとても悪い→自分でも受かるはずはないと思っている→勉強も好きになれない」という流れで書かれていますが、始めの難関大学に行きたいという気持ちと矛盾した流れになっています。
なぜそのような矛盾した状態になっているわからないため、ここでは2つのアプローチで回答していきます。
戦略・計画はプロの力を借りて
■周囲の反対によって、このような気持ちに変化したケース
自分は目標を持って頑張りたいのに、周囲から反対されたため、やる気が起こらなくなり、勉強も好きでなくなってしまったとしたら、次のようなことをしてみてください。
【1】周囲の意見は無視するか参考程度にする
周囲はあなたのことを心から心配して言っていない可能性があります。「ドリームキラー」という言葉があります。これは夢を持った人の夢を破っていく人のことを言います。自分の人生について、とやかく人から言われる筋合いはありません。自分で決めたらコツコツを進めばいいのです。このように「ドリームキラー」の言葉に耳を傾ける必要はありません。または、参考までに聞く程度にしておくといいでしょう。
【2】再度、自分の目標に向けて計画を立てていく
何事も、戦略や計画が必要になります。しかし、このようなことを今までやったことがない場合もあります。そのときはプロの力を借ります。学校、予備校や塾の先生などになるでしょう。協力をしてもらってゴールまでも道筋を具体的に作り、日々やることを明確にしていきます。
その大学に行きたい「強く深い動機」はあるか
■周囲とは関係なく、今の状態になっているケース
「そもそも難関大学を目指すは何なのか?」ということを明確にする必要があります。
【1】何のために難関大に行きたいの?
明確になっていれば、通常は次のような流れで進むことになります。
「〇〇をやりたいから大学に行きたい→そのために必要なこと(試験科目や偏差値)を調べる→現状の学力を知る→合格するための計画を立てる→毎日コツコツ実行する」
もし周囲の影響とは関係なく、モチベーションが出ない、勉強が好きではないということであれば、この流れができていないということなので、スタートラインである「何のために難関大学に行くのか」という自分の本当の動機を知る必要があります。
人間は本気で目標への動機を定まると、必ず行動してしまいます。逆にいえば、行動してない(勉強が嫌い、やる気にならないなど)ということは、本気ではないということになります。
または、単に偏差値が高いからとか、難関大学を目指していると格好いいからという理由だとしたら、その後の行動へのモチベーションは湧いてきません。なぜなら、その大学に合格することが目的ではなく、難関大学を目指すことが目的なので、目指すと口にした段階で、すでに目標を達成しているからです。
以上、2つのアプローチについて書きました。どちらが現状なのかわかりませんが、いずれにしても、動機はかなり重要になります。表面的動機か、それとも、やりたいことを学ぶためにはその難関大学でなければならないという強く深い動機かによって、行動レベルが変わってきます。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?』(学研プラス)など著書多数。