授業中に先生から当てられたとき、答えが分かっているのにうまく言葉にできなかった…なんて経験はありませんか? 20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの寄せられた「考えを言語化する方法が知りたい」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】考えを言語化する方法が知りたい

授業中に先生に当てられたときや日常生活の会話の中で、質問に対する答えが頭の中でなんとなく分かっていても、言葉にならなくて答えられないことがあります。どうしたら頭の中のイメージを言葉に変換して分かりやすく話せますか?

考えを言葉にできない(写真はイメージ)

加えて、語彙(ごい)力がなくて国語や英語の授業で困ることがあります。自分が使える語彙の増やし方があれば知りたいです!(ふっくん・高校2年)

言語化できない原因は二つある

こんにちは。石田勝紀です。頭の中にモヤモヤとした考えはあるのに、うまく言葉にできないことはよくあります。特に授業中に先生に当てられたときは、その傾向が強くなります。「答えなければ!」「間違えたら恥ずかしい……」という気持ちが働き、緊張してしまい、頭が真っ白になることがあるでしょう。

しかし、緊張する場面以外でも、「なんとなく分かっているのに言葉にできない」と感じることが多い場合、次の二つの原因が考えられます。

【原因】難しく答えようとしている

質問されて、答えをしっかりと言わないという時にありがちなのが、それ相応の言葉を使って返そうとしてしまうことです。

例えば、先生に「食物連鎖とは何ですか?」と聞かれたら、難しく考えすぎて、「生態系において生産者、消費者、分解者がそれぞれの栄養段階に応じて……(途中で詰まる)」ということがあります。

難しく考えすぎている 

【解決法】「小学生でもわかる言葉」で説明しよう

それを、小学生でもわかる言葉で説明します。「例えば、草をウサギが食べて、そのウサギをオオカミが食べます。そしてオオカミが死んだら、それを小さな虫や微生物が分解して土に戻します。こうやって、生き物はつながっていて、食べたり食べられたりしながら自然のバランスを保っています」

これで食物連鎖について回答できています。小学生に対して答えるイメージで回答すれば、語彙力はそれほど問題にはなりません。

【原因】適切な言葉を知らない

二つ目は、まさに「語彙力」の問題です。言葉を知っていれば、適切な回答ができます。語彙力がない理由は、文章を目にする機会が少ないことです。

文章の「入力量」が少ない

例えば、読書好きな子は頻繁に活字に目が触れているので、必然的に言葉が入ってきます。そのため、聞かれると、ふっと言葉が自然と出てくるのです。つまり、「入力量」が少ないことが原因です。

【解決法】「インプット」して語彙を増やそう 

では、語彙を増やすにはどうすればいいでしょうか。英語で考えるとわかりやすいです。

高校生の英語力が飛躍的に伸びるのは、必須英単語が入ってからです。読めない単語ばかりなのに、文章が読めるはずはありません。

ですから、短期間で一気に大量の英単語を何となく意味がわかる程度でよいので、入れてしまいます。すると英語力は驚くほど上がります。

「分からない言葉ノート」に記録してみて 

同様に考えると、国語の場合は漢字ということになりますが、そもそも漢字はある程度わかっているはずです。なので、現代文で出てきた自分が知らない言葉を1冊のノートに書き出して意味を記録しておくようにします。

分からない言葉をノートに記録しよう

例えば、「斬新(ざんしん)」という言葉が出てきたら、「【意味】今までにない、新しくて新鮮なこと 【例文】彼のアイデアはとても斬新で、みんな驚いた」という具合です。意味や例文はスマホで簡単に出てくるでしょうから手間はかかりません。

このような地道な作業で確実に語彙力が伸びていきます。すると国語の点数が上がりだすということも起こるので、ぜひ試してみてください。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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