テスト前しか勉強せず、良い点が取れない……そう聞いてドキッとしたあなたは、「勉強法」が間違ってるのかもしれません。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの寄せられた「勉強習慣がつけられない」という悩みに答えてくれました。
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【お悩み】普段の勉強習慣の付け方を教えて
私の勉強の悩みは、学習習慣がつかないことです。試験前1、2週間だけ勉強し、平均すれすれの点を取る……というのがお決まりになっています。
試験前だけの勉強で平均点すれすれ…部活や日々の生活はそこまできつくありません。ですが、中学生の頃よりは拘束時間が長かったり、ついついスマホを使ってしまって遅い時間になったりして、勉強ができない日が続いてしまいます。
ずっと勉強ができないことへの自己嫌悪は強く感じています。ですが、勉強するうえでの目標があまりなく、成績も上がらないのでやる気も失いつつあります。
今まである程度はなんとかやってこられてしまったので、つい「日々をしのげればいい」と思ってしまいます。もっと勉強したら、もっといい成績を取れるかもしれないと希望も持っています。でも、高2でこの状況……焦りも希望もどちらもあります。ですが、うまく継続して勉強できません。どうすればいいのでしょうか?(ちゅるちゅ・高校1年女子)
「テスト前の勉強法」に課題がある
こんにちは。石田勝紀です。テスト前すら勉強のやる気がでない高校生がたくさんいる中で、勉強に対する意欲があることはいいことです。でも、ちゅるちゅさんが取り組むべきことは、学習習慣をつけることではないと思います。そこではなく、テスト前の勉強方法に課題があると思います。

テスト前の勉強が間違っていたら結果につながらない
テストで高得点を取る人も、日頃はそれほどやっていませんし、学習習慣がついている人もいますが、習慣があるからテストで点数が取れているわけではありません。もちろん、宿題や時には予習などがあればやり、あとは数学を少々やっている程度です。それでテスト前の勉強だけで高得点が取れます。
もちろん、学習習慣があることが不要ということではありませんが、いくら学習習慣をつけたところで、テスト勉強法が間違っていたら、いくら努力しても結果は出ません。そこでちゅるちゅさんには、次のアドバイスをしますので、実行してみてください。
【1】数学の向き合い方を見直す
数学は、日々、授業が終わった部分の問題集をコツコツやっておきます。逆にテスト前にほとんど勉強しません。テスト前に数学に力を入れている生徒は、全科目点数が良くないはずです。なぜなら、膨大な量の問題に対して、ほとんどが単純な計算ばかりに時間を取られ、他の科目に時間が取れないからです。
ですから、日常は教科書準拠の学校の問題集を3周解いて、わからない問題は先生に聞き、テスト前は3回間違えた問題だけを忘れない程度やるぐらいです。

【2】宿題や小テスト対策にしっかり取り組む
宿題をこなしたり、単語テストなどの小テストや単元テストがあればその前日に勉強したりすると、高校生はそれだけでほとんど毎日が消化されていくことでしょう。部活もあるようですから、手一杯のはずです。
「定期テストの点数を伸ばすために塾に行く」という人もいますが、おすすめしません。学校のことで手一般なのに塾の勉強も加わると負荷が大きく増えてしまうだけだからです。
【3】先生に「勉強の仕方」そのものを聞く
それぞれの科目の勉強法は細かく具体的であるため、この紙面では説明が難しいです。中学生の勉強法と高校生の勉強法はかなり似ていて、『中学生の勉強法』(新興出版社)に詳しく書きました。それを参考にしてもらってもいいですが、次の方法をまずは試してみてください。
テストの2週間前に各科目の先生のところへ行き、次のように聞きます。
「テスト前に、(科目名)を〇〇のように勉強をやっているんですが、いつも平均しかとれません。もっと点数を伸ばすためには、『どのように』勉強したらいいですか?」
「どこを勉強したら?」ではなく「どのように勉強したら?」がコツです。先生はわかりやすく教えてくれると思います。
それを実行し、高得点を取ってしまえば、心に余裕ができて、さらに日常の勉強をやろうという気持ちが出てきます。すると、自然と学習習慣ができていきます。ぜひ、試してみてください。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)など著書多数。