2022年4月から群馬・藤岡中央高校の新入生は、新たな制服で学校生活を始める。新制服を考案したのは、2020年に発足した「制服検討委員会」だ。委員会の中心となり、高校3年間を通じてひときわ努力を重ねた生徒をたたえる第24回「高校生新聞社賞」を受賞した生徒たちに、「県内一かわいい・かっこいい制服」を目指したという新制服完成までの経緯を聞いた。(文・中田宗孝 写真・学校提供)

ブレザーにしたい、地味な色を変えたい…

2020年10月、生徒会長の赤見秀英君(3年)ら有志生徒7人による制服を新しいデザインに変える「制服検討委員会」が発足した。

藤岡中央高校の旧制服。在校生から刷新を求める声が多かった

「生徒会に『学ランからブレザーにして欲しい』『地味な色を変えたい……』という新制服を望む生徒の声が多く寄せられていたんです。僕自身、中高学ランなので、高校生になった気がしないなと感じてたことも(苦笑)。学校側の許可が下り、僕ら生徒たちで新たな制服を考え始めました」(赤見君)

県内一かわいい・かっこいい制服目指し

制服検討委員会のメンバーたちは、放課後に集まり、新制服づくりのための話し合いを重ねた。コンセプトは「(群馬)県内一かわいい・かっこいい制服」に決まった。

新制服のデザイン担当の中心となった関航太君(3年)は、「日本の制服はもちろん、韓国はじめ海外の制服のデザインなども調べました。制服という固定観念に縛られず、自分たちの普段のファッションなども参考にして、取り入れられる色味や素材はないか探していきました」と話す。地域の学生服メーカーを訪ね、制服デザインの知識などを学んだ。

関君がパソコンで制作した新制服のデザイン画、委員会メンバーの思いやイメージを数社の学生服メーカーに伝え、試作品が完成。「ネイビー」「えんじ色」「グレー」「ベージュ」を基調とした4パターンの制服の中から選ぶことになった。

「『えんじ色』も良いなと思いました。先生方の意見も聞きつつ、自分たちが掲げたコンセプトがもっともカタチになっている『ベージュ』の制服に決めました」(赤見君)

女子はスラックスも選べる

新制服に採用したベージュのブレザーに、男子はネイビーのスラックス、女子はチェック柄のスカートを合わせる。また女子は、スカートのほかにスラックスを選ぶこともできる。ネクタイ・リボンは各3種から、Yシャツ・ブラウスは各4色から選べるのも魅力だ。「バリエーションの幅をもたせて多様性を意識しています。今の時代感にも合っていると考えます」(赤見君)。「女子の制服のスカートが“フレアスカート(シルエットが朝顔のように広がったスカート)”なのもポイントです。県内の高校では採用していない種類」(関君)

完成した新制服。ベージュを採用

昨年8月の同校オープンスクールで、新制服が初披露された。当日は委員会が制作した新制服完成までの動画を公開した後、メンバーが新制服で参加者の前に登場。新たなデザインは、中学生や保護者たちから好評を博したという。

後輩が新制服を着るのがうれしい

新制服を着られる生徒は、2022年度の新入生からとなる。3月で卒業する赤見君と関君、制服検討委員会の在校生メンバーは現在の制服のままだが、「それは会発足のときから分かってました。自分たちが考えたオシャレな制服が今後、着続けられていくのがうれしいんです」(赤見君)。

卒業後もデザインの勉強を続ける関君は、「とても良い経験をさせてもらいました。今後の自分のデザインに生かしていきたい」と語った。2人は、最寄り駅や街中で、自分たちがデザインした新制服を着た生徒らを見かけるのが楽しみだという。